OBSERVATION
2026-11-05
第一生命経済研究所の嶌峰義清シニア・フェローは、2025年3月13日付のレポート「資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~」で、日経平均株価のテクニカル分析とファンダメンタルズ分析の結果を公表した(DLRIレポート](資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~ | 嶌峰 義清 | 第一ライフ資産運用経済研究所))。判断の基準時点は3月12日終値である。

楽天証券のトウシルは「初登場!『ブル・ベアETF』を上手に活用しよう!」で、ブル型・ベア型ETFの仕組みとベア型ETFによるリスクヘッジを解説している([トウシル記事](https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2841))。掲載日は本文に明記されていない。

本稿の材料には当日の寄り付き前データや前場の値動きは含まれていない。そのため、朝6時時点の予想や前場の確定的な判断はできない。以下は2025年3月時点の資料に基づく判断の型と、条件分岐としてのシナリオである。

足元のテクニカル配置

DLRIレポートによると、日経平均は2025年1月23日の終値39,958.87円をピークに下落トレンドに転じた。2月3日に一目均衡表の雲を下抜け、2月20日には遅行線が雲を下抜ける売りシグナルが出た([DLRIレポート](資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~ | 嶌峰 義清 | 第一ライフ資産運用経済研究所))。

ボリンジャーバンドでは、2月28日の終値が-2σを下回った。その後も-2σに沿った下落が続く「バンドウォーク」の状態にあり、3月12日時点では下落トレンドが継続しているとされる。一方、RSIは3月7日に30%を下回って売られすぎ圏に入った。レポートは、これが直ちに反転を意味するわけではないと明記している([DLRIレポート](資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~ | 嶌峰 義清 | 第一ライフ資産運用経済研究所))。

月足の24ヶ月移動平均値は36,128.81円(3月12日終値で算出)である。レポートは、下降トレンドが月足終値ベースで36,000円程度までは続く公算が大きいと判断している([DLRIレポート](資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~ | 嶌峰 義清 | 第一ライフ資産運用経済研究所))。これはレポートの見解であり、確定した事実ではない。

ヘッジ商品の仕組みと注意点

トウシルの記事によると、ブル型ETFは指数の変動率の2倍、ベア型ETFは指数の変動率のマイナス1倍の値動きを目指す設計である。日経平均が10,000円から10,500円(5%上昇)になった場合、ブル型は10%上昇、ベア型は5%下落となる([トウシル記事](https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2841))。

ここで確認すべきは商品の区分である。テーマは「ブルベア投資信託」だが、資料で扱う商品は東証の1568・1569(TOPIX連動)と大証の1570・1571(日経平均連動)のETFである。記事は販売手数料がなく、売買手数料のみで売買できると説明している([トウシル記事](https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2841))。ただし、信託報酬などの費用数値は資料に存在せず、現在も同じ条件かは未確認である。取引前に楽天証券の最新の商品説明で確認する必要がある。

記事は、ボックス相場では価格が倍率どおりに動かないことも指摘している。TOPIXが小幅な上下動を挟みながら10%上昇した場合、2倍ブルの上昇は20%ではなく15%にとどまる例が示されている。そのため、長期保有は避け、1〜6ヶ月程度の明確なトレンドが出ているときだけ使うべきとされる([トウシル記事](https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2841))。

筆者の見立てとして、ベア型をヘッジとして長く持つと、倍率の崩れによって保有株の損失を完全には補填できない可能性がある。これは保険料だけ払い続ける構造になりかねない。

損切りルールの適用手順

筆者の運用ルールは次の三点に絞る。いずれも資料の記述から導いた判断であり、ヘッジ比率などの数値は資料に示されていない。

  1. ヘッジ比率を全額にしない。保有株の一部だけをベア型でカバーし、全額ヘッジによる機会損失と逆方向の損失を抑える。
  2. 発注前に撤退条件を書き出す。たとえば日経平均が2σバンドに沿った下落から離れ、一目均衡表で雲の上に戻った場合は、ベア型を縮小する。条件を数字で決めるかは、判断時点の最新チャートで確認したうえで決める。
  3. 下降トレンド途中の逆張り買いをしない。記事も、下降トレンド途中の逆張り買いを避けることと、損切りルールを守ることを求めている([トウシル記事](https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2841))。

期日イベントも確認が必要である。DLRIレポートは、関税引き上げの判断期限を4月2日としている。交渉が進んで関税引き上げが回避されれば、株価反発のタイミングが訪れると予想している([DLRIレポート](資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~ | 嶌峰 義清 | 第一ライフ資産運用経済研究所))。これもレポートの見通しであり、現時点の事実ではない。

前場・後場のシナリオ

前場の判断は、まず寄り付き後の水準を24ヶ月移動平均の36,128.81円と比べる。月足終値ベースの指標であるため、日中の水準では厳密な判定にならない点に注意が必要である。

前場シナリオA:下落基調が継続する場合
36,128.81円を明確に下回って推移し、戻りが一目均衡表の雲の下で抑えられるなら、レポートの下落見通しと整合的と判断する。この場合、ベア型の保有を維持し、事前に決めた撤退条件に触れていない限り機械的に切らない。

前場シナリオB:スピード調整的に反発する場合
RSIが売られすぎ圏から戻る局面では、反発が一時的か本格的かを切り分ける必要がある。レポートも、この二つを判断する材料には欠けると述べている([DLRIレポート](資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~ | 嶌峰 義清 | 第一ライフ資産運用経済研究所))。反発が雲を明確に上抜けない場合は、ベア型の追加購入をしない。雲を上抜けて撤退条件に触れた場合は、ベア型を縮小する。

後場シナリオ:関税報道による変動
後場は、関税に関する報道の内容によって値動きが大きくなりやすい。レポートは、売買が薄くなると材料への反応が大きくなりやすいと指摘している([DLRIレポート)。前場で撤退条件を満たしていた場合は、後場で速やかに執行する。感情で逆張りをしない。

結論

完璧な答えは出ない。判断材料の水準は2025年3月時点のものであり、現在の相場にそのまま当てはめられない。

次に行うべきことは二つある。一つは楽天証券の最新の商品説明で、1568〜1571の条件と信託報酬の有無を確認すること。もう一つは現在の日経平均を36,128.81円と39,958.87円の位置関係で再確認することである。その上で、ベア型をヘッジに使うなら、保有期間と撤退条件を先に書き出してから発注する。

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