OBSERVATION
2026-11-04
下げ相場の朝、板を見る前に最初に決めるべきなのは含み損の額ではなく、許容できる損失の上限である。本記事は、ブルベア投資信託を使うかどうかを判断するための手順を整理するもので、投資助言ではない。

材料は、第一生命経済研究所の嶌峰義清シニア・フェローによるレポート「資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~」(2025年3月13日発表、資産運用のキホン ~その21:テクニカル分析を含めた日経平均株価の見通し~ | 嶌峰 義清 | 第一ライフ資産運用経済研究所)である。テクニカルとファンダメンタルズの判断材料を整理したもので、当日の売買予想ではない。データは2025年3月12日終値基準であり、以下の数値はその時点のものとして読んでいただきたい。楽天証券のセミナー資料(https://www.rakuten-sec.co.jp/web/learn/seminar/20260912-01/pdf/02.pdf)は取得時に本文が抽出できなかったため、本記事では内容を引用していない。

ヘッジは保険料であり、消火器ではない

ヘッジは損失を消す道具ではない。下げ幅を限定するための保険料である。保険料(コスト)と補償範囲(想定下落幅)を天秤にかけ、払う価値があるかを判断する。これが本記事の立脚点である。

判断の前に、次の三つを決めておくとよい。

  • 守りたい資産額(総資産の何%か、何円か)
  • 許容する損失額(守りたい資産のうち、どこまで失ってよいか)
  • 撤退条件(いつヘッジを外すか)

たとえば「この額までなら失っても生活に影響しない」という上限を先に金額で決めておけば、朝の板で迷う余地は小さくなる。あなたの資金で考えると、総資産のうちどこまで失っても生活が変わらないかを先に答えられるかが分岐点になる。

テクニカル指標は「下落が続くか」の判定に使う

テクニカル指標は予想の根拠ではなく、状態を判定するツールとして使う。以下はレポートの各指標を、2025年3月12日基準の示唆と注意点に分けて整理したものである。

指標読み方2025年3月12日基準の示唆見落としやすい注意点出典
ボリンジャーバンド 拡大したバンドが収束(ポージ)に転じるとトレンド終了の示唆 2/28に終値で-2σを下抜け。その後も-2σに沿う展開(バンドウォーク)。収束は未確認 3/7には-σ付近まで戻しており、一時的な振れを含む DLRIレポート
一目均衡表 雲と遅行線で方向を見る 1/23終値39,958.87円を天井に下落転換。2/3に雲を下抜け、2/20に遅行線が雲を下抜け 3/19に先行スパン1と2が再逆転し、転換点となる可能性がある(レポートの見通し)。雲の水準は3月末以降急低下 DLRIレポート
MACD デッドクロス・ゴールデンクロス、ヒストグラムの傾斜 明確な転換シグナルは未確認。ヒストグラムのマイナス幅は11月29日以来のもの 下降トレンドが強まったとまでは言えない段階 DLRIレポート
RSI 30%以下は売られすぎ圏 3/7に30%を下回る 反転確定ではなく、スピード調整の可能性にとどまる DLRIレポート

レポート全体の結論は、テクニカル指標からは一旦のスピード調整の可能性がある一方、低下トレンドはしばらく続く公算が大きいというものである。ファンダメンタルズ面では、景気や業績は悪くないものの、トランプ関税の先行き警戒感から当面はリスク回避の流れが続くとしている。

あなたの資金で考えると、指標を一つずつ判定表に当てはめ、「下落継続」「スピード調整」「転換未確認」のどれに当たるかを毎朝書き出せるかが問われる。

ブルベア型投信は保険か、高い掛け捨てか

ヘッジ手段は四つに分けて比較する。ただし、ブルベア型投資信託の信託報酬、レバレッジ倍率、純資産、解約条件については、今回参照した一次情報(DLRIレポート)では確認できていない。該当する数値は本記事では示さず、各商品の目論見書で確認していただきたい。

手段下落時の効果主なコスト長期保有の注意点向いている局面
現物の一部売却 下落額を確定して回避 売買手数料、売却益への課税 反発時に買い戻せない機会損失 下落が続くと判断し、保有比率を下げたい場合
信用取引の売り 下落に対して利益が出る 金利・貸株料、追証リスク 期日管理と強制決済のリスク 短期で下げを取りに行く場合(上級者向け)
ブルベア型投資信託 指数の逆方向に動く設計 信託報酬(商品ごとに要確認) 日次リセットの仕組みのため、往復相場で期待どおりにならない場合がある(一般論) 上限額を決めた補助的ヘッジ
先物 下落時に売りポジションで対応 証拠金、限月ロール 証拠金不足による強制決済、レバレッジによる大きな損失 資金量と管理体制が十分な場合

いずれの手段も、下落を確実に防ぐものではない。まずは「どこまでなら損失を受け入れられるか」を決め、そのうえで保険料に見合う手段を選ぶことが、下げ相場での判断を安定させる近道である。

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