最初は円高の記事を書くつもりやったんやけど、資料の主役は円安と金利上昇やった。ここは先に言うとくわ。
3か月強で2.24%が2.72%に
資料によると、10年金利は2月5日の2.24%から、5月15日には2.72%まで上がったんやて。わずか3か月強での動きや([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。
同じ期間で、10年BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、市場が見込む物価上昇率の目安)も、2月27日の1.72%から5月15日の2.24%へ、50bp弱上がったとされとる([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。金利とBEIは別の数字やで。ここを混ぜると話がわやになるから、気いつけや。
原因は一つに決められへん
資料は、①日銀のタカ派化、②中東情勢の緊迫、③国内外の財政拡張への警戒、の3つが同時に表に出たことが背景やと書いとる([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。「日銀のせいや」「政権のせいや」と一人の悪者にすると、見誤るんちゃうか。
日銀の件では、市場が見込む政策金利の着地点が25bp切り上がったことを受け、資料のモデルで試算すると長期金利を20bp弱押し上げた計算になる、とある。ただしこれは推計や。しかも日銀は4月会合で利上げを見送っとる([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。「日銀が利上げした」と書いたら間違いになるで。見送りで「ビハインド・ザ・カーブ(政策が市場の先行きに追いついてへん状態)」の懸念が出て、金利が上がった面もあったと見られる、というのが資料の読みや。
中東では、イラン戦争による原油高と、それにくっついた円安がインフレ期待を押し上げたとされる([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。原油高は物価を押し上げる一方で景気も冷やすから、金融政策の舵取りが難しいんやと。
財政面では、ガソリン補助金や、夏場に向けた電気・ガス代補助のための補正予算編成の検討報道が、長期金利に拍車をかけたと書いてある。ただ資料自体も、政権が大規模な補正を検討しとるわけではないとも書いとるんや([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。
海外では、米国でFRBの利下げ織り込みが剥がれ、利上げまで織り込まれる展開になったことや、英国の地方選で与党が敗北して英金利が大きく上がったことが、日本の金利にも連鎖したと見られるそうや([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。
見えにくいのは国債の需給や
ここが一番大事やと思うとる。QT(量的引き締め、日銀が保有国債の買入を減らす政策)の話や。
資料によれば、日銀が持っとる国債が満期で戻ってくる償還は四半期で20兆円、年換算で80兆円にのぼる。一方、日銀の買入はQT開始前の月5.7兆円から、足元では月2.7兆円(四半期8.1兆円)に減っとる。この差の四半期12兆円が、事実上の市場への供給になっとると資料は計算しとる。年換算では48兆円や。これに政府のネット発行年20〜30兆円を足すと、年70〜80兆円規模が市場に出る計算になる、と書いてある(いずれも出典の試算。[出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。
国内の民間だけでは吸収しきれず、海外投資家に頼る部分が出てくる。海外勢は高めのリスクプレミアムを求めがちやから、金利に上昇圧力がかかりやすい、という理屈や([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。
厄介なんは、QTを止めても需給の弱さは変わらんことや。資料は、今すぐ買入減額を止めても、買入を増やさん限り年48兆円規模のネット供給は続くと指摘しとる([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。日銀が買入を増やせば、今度は政府からの圧力と疑われかねん。ほんまに板挟みやで。
家計にはどこから知人か
正直に言うと、この資料は住宅ローンや預金の数字は扱っとらん。だから数字は書けへん。ワイが仕組みとして整理するとこうなる。
- 固定金利は長期金利の動きと関係が強い、というのが一般的な見方や(資料の直接の記述やないで)。
- 変動金利は政策金利との関係が強いとされるけど、今回の資料では政策金利の水準は確認できへんかった。
- 預金金利は銀行が決めるもんや。長期金利が上がったからといって、すぐ反映されるとは限らん。
自分で確かめるなら、ローンが変動か固定か、見直しの時期はいつか、銀行の店頭公表金利はどうなっとるか、日銀の公表統計はどうか、の4つをチェックするとええと思う。これは特定の商品を勧める話やないで。
次に見るもんはこれや
資料が挙げとる日程は、中東情勢(ホルムズ海峡の正常化の見通しと補助金の支給期間)、年央の骨太方針・成長戦略・消費減税の中間報告、年末の防衛三文書改訂と来年度当初予算の閣議決定、そして英国の政治動向や。資料は、市場が「積極」を前面に受け取れば3%との距離が縮む可能性があり、「責任」が前面に出れば金利上昇にブレーキがかかる可能性がある、と二つの道筋を示しとる([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。
そして、仮に短期で落ち着いても、QTという底流の引き締めは構造として残る、というのが資料の指摘や([出典:同マクロビュー](日本の長期金利上昇の背景と先行きへの示唆~脆弱な需給構造を背景にリスクはアップサイドに傾きやすい~ | 三井住友DSアセットマネジメント))。
なお、同じ資料ページには別のPDFも紐づいとったんやけど、本文が読めへんかったから、ここでは使うてへん([PDF)。
ワイの見立てを言うとくと、今の局面は「どれか一つが決め手」ちゃうて思うとる。次にニュースで金利の数字を見たら、その日の2.72%のような水準だけやなく、BEIの動き、日銀の会合、財政の日程を並べて見たらええ。それで「何が動いたんか」がだいぶ見えてくるはずや。まだ決まってへん部分は決まってへんのやから、焦らんでええで。
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