OBSERVATION
2026-10-26
2026年・直近半年のニュースBEST10――地震、物価高、宇宙。ニュースを「自分ごと」で振り返る

ニュースは、その日のうちに次のニュースへ押し流されていく。

けれど半年という長さで振り返ると、別々に見えた出来事が一本の線でつながってくる。遠い中東の緊張が日本のガソリン価格に響き、円相場の揺れがスーパーの値札に現れ、人口減少や災害が「これまで通りではいられない」と静かに迫ってくる。

今回は2026年4月26日から10月26日までを対象に、「暮らしへの影響」「今後も続く余波」「この半年を象徴する力」の3つで、個人的なニュースBEST10を選んだ。暗いニュースばかりやない。スポーツ、医学、宇宙にも、確かな希望があった。

※順位は筆者による独自選定。事実関係は2026年10月26日時点の政府機関、主催団体などの公表資料で確認した。

第10位 スポーツがくれた、悔しさと熱狂

6月29日、サッカー日本代表はワールドカップのラウンド32でブラジルと対戦し、1―2で逆転負けした。勝利には届かなかったが、世界の強豪と一発勝負を演じた事実そのものが、日本サッカーの現在地を示した。

そして9月19日から10月4日には、愛知・名古屋でアジア競技大会が開催された。夏季大会の日本開催は32年ぶり。45の国と地域が集まった大会は、勝敗を超えて、人が同じ場所に集うことの価値を思い出させてくれた。

この半年、社会には不安材料が多かった。せやからこそ、声を上げて応援し、知らない誰かと同じ瞬間に熱くなれるスポーツの力が、いつも以上にまぶしく見えた。

第9位 日本人4人がラスカー賞、研究が治療へつながる

9月、柳沢正史教授ら日本人研究者4人が、米国の医学賞「ラスカー賞」に選ばれた。睡眠と覚醒を制御するオレキシンの研究、そして血友病Aの治療を変えた抗体医薬の開発が評価された。

これは「日本人が賞を取った」というだけの話ではない。長い基礎研究が、眠れない人や血が止まりにくい人の治療へつながった物語や。すぐ役に立つ成果ばかりを求めがちな時代に、何十年も問いを追い続ける研究の強さを見せてくれた。

第8位 MMX打ち上げ成功、日本の探査機が火星の月へ

10月20日、JAXAの火星衛星探査機MMXがH3ロケット10号機で打ち上げられ、予定軌道へ正常に投入された。目指すのは火星の衛星フォボス。試料を地球へ持ち帰る計画で、帰還予定は2031年だ。

半年を振り返る記事で、5年後のニュースの種を見つけられるのはうれしい。打ち上げ成功はゴールではなく、長い旅の始まり。宇宙開発は、一度の派手な映像の裏に、無数の地味な確認と失敗への備えが積み上がっている。その姿勢は、仕事にも人生にも通じる気がする。

第7位 政府共通ネットワークへの不正アクセス

9月11日、デジタル庁は、政府のガバメントソリューションサービスへの不正アクセスにより、約24万6千件の個人情報が漏えいした可能性があると発表した。VPN機器の脆弱性が悪用された事案で、対象は政府機関の職員や業務関係者。一般の人の個人情報やマイナンバー、口座情報などは含まれないとされている。

デジタル化は便利さだけでは完成しない。入口を一つにまとめれば、攻撃されたときの影響も大きくなる。アップデート、権限管理、異常検知、被害公表までを含めて初めて「使えるインフラ」になる――その現実を突きつけたニュースだった。

第6位 食料品の消費税1%案、家計支援の形が争点に

7月30日、政府は飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、1%へ引き下げる案を示した。その後の本格的な給付制度と組み合わせ、実質的な負担軽減を目指す構想だ。

ただし、2026年10月26日時点では法案審議中であり、実施が確定したわけではない。減税の分かりやすさ、財源、事業者の対応コスト、2年後に税率を戻す難しさ。レジで払う金額に直結する政策だからこそ、見出しだけで「決まった」と受け取らず、制度の行方まで見届けたい。

第5位 円を守る日米協調介入、日銀は政策金利1.25%へ

7月31日、日米の通貨当局は円買いの協調介入を実施した。日米による協調介入は28年ぶり。さらに日銀は9月、政策金利を1.25%程度へ引き上げた。

為替や金利は難しい言葉に見えるが、住宅ローン、預金金利、輸入品、旅行代、企業の仕入れまで、生活のほぼ全部につながっている。国が市場へ介入し、中央銀行が金利を動かしても、すべてが一度に解決するわけではない。この半年は、お金の値段そのものが揺れた半年やった。

第4位 出生数は過去最少、合計特殊出生率も1.14

厚生労働省が公表した2025年の人口動態統計確定数では、出生数は67万1,270人で10年連続の減少、合計特殊出生率は1.14で過去最低となった。自然減は91万8,263人に達している。

少子化は「子どもを産んでもらう政策」だけで語れる問題ではない。雇用、住宅、教育費、介護、働き方、そして将来への安心感が全部つながっている。数字が更新されるたび驚く段階は、もう終わったのかもしれない。社会のサイズが変わる前提で、交通、学校、医療、地域を組み直す時期に入っている。

第3位 豪雨と台風、災害が「季節の例外」ではなくなる

8月の千葉豪雨、9月の台風25号など、各地で河川氾濫や浸水、土砂災害が続いた。堤防決壊などを受け、気象庁は千葉県の一部地域で警報の発表基準を暫定的に引き下げた。

災害が起きた後は「想定外」という言葉が出る。しかし毎年のように記録が塗り替えられるなら、過去の標準を前提にした備えそのものを更新せなあかん。ハザードマップ、避難先、スマホの充電、家族との連絡方法。大げさに思える準備が、いざというときには普通の日常を守る。

第2位 令和8年熊本地震、10年前の記憶が再び揺れた

7月28日、熊本県熊本地方でマグニチュード7.1の地震が発生し、最大震度7を観測した。気象庁は一連の地震活動を「令和8年熊本地震」と命名した。8月9日時点で死者39人とされ、震度5弱以上の地震も相次いだ。

2016年の熊本地震から10年。復旧した町を再び大きな揺れが襲った事実は、災害に「もう大丈夫」はないと教える。耐震化や備蓄だけやなく、被災後の生活、仕事、心の回復まで含めた長期支援が必要になる。

第1位 中東危機とホルムズ海峡、日本の暮らしを直撃

この半年で最も影響が広かったニュースとして、中東情勢とエネルギー危機を挙げたい。ホルムズ海峡をタンカーが通航しにくい状況が続き、日本政府は国家備蓄原油を放出。5月には電気・ガス料金支援と3兆円強の補正予算方針を示した。

戦闘の現場は遠くても、日本は原油の多くを輸入に頼る。ガソリン、電気、物流、肥料、食品、プラスチック――エネルギー価格は社会の血圧みたいなもので、上がればほぼ全身に響く。10月23日にも政府が追加の負担軽減策を検討するよう指示しており、危機はまだ「終わったニュース」ではない。

この出来事が突きつけたのは、安いエネルギーがいつでも届くという前提の弱さや。調達先の分散、備蓄、省エネ、再生可能エネルギー、原発を含む電源構成。好き嫌いだけではなく、供給が止まったときにどう暮らしを守るかという現実的な議論が必要になる。

半年を一言で表すなら、「前提が揺れた」

この半年は、地面が揺れ、天候が荒れ、円の価値が揺れ、エネルギー供給の前提も揺れた。一方で、医学研究は治療へつながり、スポーツは国境を越えて人を集め、探査機は火星へ向かった。

悲観だけでは前へ進めない。でも楽観だけでも備えられない。

ニュースを読む意味は、怒ったり不安になったりすることだけやない。世界で起きていることと自分の暮らしをつなぎ、次に何を選ぶか考えることにある。防災用品を一つ確認する。家計の金利を見直す。一次情報まで読んでみる。小さくても、その行動がニュースを「消費するもの」から「未来に備える材料」へ変えてくれる。

次の半年、どんなニュースが1位になるかは分からない。せやけど、流されず、自分の目で確かめ、自分の頭で考える。その習慣だけは、今から持っておきたい。