参照した一次情報は、調査テーマのメモと、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」に掲載された日経平均のテクニカル分析記事の2つである。後者は13週・26週移動平均線から見た日経平均の大局観を論じたもので(https://media.rakuten-sec.net/articles/-/19703)、データは2019年2月末時点までのものだ。記述されている相場水準や景気の前提は現在とは一致しないため、そのまま現在の判断に当てはめることはできない。
ブルベア商品は検証不能
調査の出発点となったテーマメモは104字しかなく、ブルベア商品の信託報酬、連動倍率、解約条件は含まれていない。したがって、商品性能によるヘッジ効果は本稿では評価できない。資料にない数値を補って議論することは避ける。
ブルベア型商品は下落局面で値動きを逆向きに捉える仕組みとして紹介されることがある。しかし、その効果は費用と連動性の実態に左右されるため、目論見書で確認して初めて評価できる。現時点でこの戦略を実行する根拠は不足しており、判断は保留すべきだ。
チャート分析の限界
トウシルの記事によれば、2015年1月から2019年2月までに13週・26週移動平均線のゴールデンクロスは2回、デッドクロスは3回出現した。2018年はトレンドの出ないボックス相場となり、シグナルは「だまし」となった(トウシル記事)。同記事も「テクニカル分析だけで投資判断をするべきではありません」と述べ、この長い移動平均線は「短期のトレーディングにはほとんど役立ちません」と明記している。
筆者の見立てでは、13週・26週線は長期トレンドのフィルターとして使い、エントリーの合図にはしない。合図に使えば、だましの局面で高値づかみのヘッジを抱えることになる。
損切りルールの置き方
ヘッジの損切りは「相場が逆に動いた時の損失」ではなく、「ヘッジ自体のコスト」の上限として設計する。筆者が考える最小構成は次の5点だ。
- 検討の入口: 13週線が26週線を下抜けた状態でのみヘッジを検討する。
- 損切り: ヘッジ枠の上限を事前に金額で固定し、含み損がその上限に達したら機械的に解消する。上限の水準は商品条件を確認してから決める。
- 縮小候補: 急反発が起きた場合は一部縮小を検討する。反発だけで全解消はせず、値動きの確認を優先する。
- 期限: 重要な政策や通商交渉の結果が出る日を跨ぐ保有は、その日以降に必ず見直す。トウシルの記事も、2019年3月時点では米中通商交渉やブレグジットなど不透明要因が多いことを挙げていた。
- 反発時の扱い: 13週・26週線がまだ下向きなら、反発は一時的とみなす。トウシルの記事も、両線が下向きのままでは一本調子の上昇は難しいと述べている。
前場・後場のシナリオ
以下は一般的な条件分岐の枠組みであり、筆者の見立てである。具体的な価格水準は資料に基づいて設定できないため、実際の判断では当日のチャートで移動平均線や直近の安値・高値を確認したうえで行う必要がある。
- 前場で直近の安値を割り込み、移動平均線が下向きのままの場合: 新規ヘッジは前場中に急がない。後場の戻りで反発の強さを確認する。
- 前場で急落後に反発し、戻りが弱い場合: 反発はスピード調整の可能性があり、ヘッジ縮小を候補とする。
- 後場も前場安値を割らず、移動平均線が下向きのままの場合: ヘッジ保有は枠内に限定し、大引け時点で枠を再確認する。
- 終値で直近の移動平均線を回復した場合: ヘッジ解消を優先する。
なお、急落局面では売買が薄くなり、短時間で大きく値が動くことがある。ヘッジの効きが大きい局面ほど逆回転も速い点は、前場・後場の判断に織り込む必要がある。
次のアクション
次回は、ブルベア商品の目論見書から信託報酬、連動倍率、解約条件を確認し、本稿の損切り条件に当てはめて検証する。費用と連動性が確認できない段階では、この戦略は実行に移さない。
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