誰のため? 私のための下着選び

# いつもの朝の小さな違和感

朝、鏡に映る自分の姿をぼんやり眺めていたときのことです。いつものブラジャーが、なんだか体に合っていないような、しっくりこない違和感を覚えました。子供たちも独立し、夫も単身赴任で家が静かになった今、自分のためだけに時間を使えるようになったせいでしょうか。ふと、自分の体にもっと目を向けてあげたい、そんな気持ちが湧いてきました。

「もう50代だし、今さら誰に見せるわけでもないのに」と、世間の常識が頭をよぎる一方で、心の中では「まだ綺麗でいたい、心地よく過ごしたい」という気持ちがくすぶっていました。先日、友人の美咲さんとランチをした時も、彼女が「最近、肩こりがひどくてね。ブラのせいかなと思って」と話していて、私も同じようなことを感じていたので、妙に納得したのを覚えています。

# 百貨店の敷居と昔の私

若い頃は、デザインの可愛さだけで下着を選んでいました。サイズを測ってもらうなんて、なんだか恥ずかしいし、必要ないと思っていましたから。当時は、一度測れば一生変わらないものだとばかり信じ込んでいたんです。でも、最近になって 「女性のバストサイズは平均して5年間で約1カップ変化する」 という話を聞いて、目から鱗が落ちる思いでした。

百貨店のランジェリー売り場は、私にとってずっと敷居の高い場所でした。ショーケースに並んだ繊細なレースや、洗練されたデザインの数々を見るたびに、私には縁遠い世界だと思っていましたし、店員さんに声をかけられたら、勧められるがままに高価なものを買ってしまうんじゃないかという不安もありました。実際、昔はデザインだけで選んでしまい、結局一度も着ることなくタンスの肥やしになってしまった下着もいくつかあります。

# 専門フィッターとの出会い

そんな私ですが、一念発起して大阪の阪急うめだ本店にあるランジェリーコーナーへ足を運んでみました。思い切って、売り場にいたフィッターさんに声をかけてみたんです。最初は緊張しましたが、フィッターの山本さんはとても穏やかな方で、私の漠然とした悩みを丁寧に聞いてくださいました。

個室に案内され、 約30分間 のカウンセリングと採寸を受けました。自分の正確なサイズを知ったのは、本当に何十年ぶりでしょう。山本さんは私の体型やライフスタイルに合わせて、いくつかのブランドから最適なブラジャーを提案してくれました。 ワコールの「サルート」トリンプの「天使のブラ」 など、今まで名前は知っていても、自分には合わないだろうと思い込んでいたブランドばかりです。実際に試着してみると、着け心地の良さもさることながら、洋服を着た時のシルエットが驚くほどきれいに整うことに感動しました。

# 見えない贅沢と家計のリアル

ブラジャー1枚の価格は 5,000円〜15,000円 ほど。正直、最初は少し高く感じました。介護費用や老後の資金繰りで頭がいっぱいになりがちなこの頃、自分への出費は慎重になってしまいます。でも、山本さんの説明を聞き、実際に試着して納得したんです。この心地よさと、気分が上がる感覚は、お金には代えられない価値がある、と。

それに、高価なランジェリーは手入れが大変だというイメージがありましたが、最近のブランドでは 自宅での手洗い可能な素材や耐久性の高いレース を使っている製品も多いと教えてもらい、安心しました。適切なケアをすれば、一般的な下着と変わらないくらい長持ちするそうです。夫にはまだ話していませんが、これは私だけの、ささやかな贅沢です。

余談ですが、先日実家の片付けを手伝っていたら、母が若い頃に着ていたという、とても綺麗な着物が出てきました。色褪せることなく大切に保管されていたのを見て、母も自分なりのおしゃれを楽しんでいたんだな、と改めて感じました。あの着物をどうしようか、今も悩んでいるところです。

# 私だけの心地よさを見つける

自分の体とじっくり向き合い、自分を大切にする時間を持つこと。それは、年齢を重ねた私たちにとって、とても大切なことだと今回の経験で強く感じました。専門フィッターによる採寸とアドバイスを受けた人の 「購入後の満足度が約85%に達する」 というデータがあるそうですが、まさに私が感じたのはその満足感でした。

誰のためでもなく、自分のために選んだ心地よい下着は、日々の生活に小さな自信とモチベーションをくれます。鏡を見るたびに、ほんの少し背筋が伸びるような気がするのです。皆さんは、年齢を重ねて、どんな下着を選んでいますか? そして、忙しい日常の中で、自分を労わる時間、どう作っていますか?