材料は2つです。一つは東京ボイストレーニングスクールの特集ページ(最終更新は2026年10月15日)、もう一つは婦人画報の記事です。前者はスクールの広告ページであり、後者もどこまで効果を保証する内容かは判断できません。どちらも効果を保証する資料ではないという前提で読みました。
声は喉だけで決まらない
ここが一番の引っかかりでした。声は声帯、声帯を動かす筋肉、息を送る呼吸の力でつくられると、スクールのページは説明しています。年齢を重ねると、これらの筋肉がやせたり、会話や歌う機会が減ったりして、かすれや細さが起こりやすくなるとされています。
同じページには、大阪大学の耳鼻咽喉科医が声帯の粘膜や筋肉の変化を解説しているという引用もあります。ただし、元になるのはJOHNS 39巻9号(2023)の論文です。引用元の論文は確認できましたが、解説者の所属については、本文からは確認できませんでした。
男女差については「女性は声が低く、男性は声が高く細くなる傾向があるといわれている」と書かれています。根拠となる研究は示されていないので、この点は参考程度に受け取るのがよさそうです。
一般に、首や肩の力みが呼吸を浅くすることがあるといわれています。ただし、整体は医療行為ではなく、声の不調を診断したり治療したりするものではありません。声の不調が続く場合は、医療機関への相談が前提になります。
| 情報源 | 内容 | 確かさ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大阪大学の耳鼻咽喉科医(JOHNS 39巻9号を引用) | 加齢で声帯の粘膜や筋肉が変化する | 論文の引用。解説者の所属は未確認 | 医学的な診断ではない |
| 海外研究(J Speech Lang Hear Res 66(8)、2023) | 60歳以上がストロー発声を4週間行い、改善が報告された | 報告の段階。対象人数や対照群は資料からは未確認 | 治療法として確立したものではない |
| スクールの運営責任者の体験談 | 今がいちばん高い声を無理なく出せている | 個人の体験 | 第三者による評価ではない |
研究と改善データの読み方
海外研究では、加齢による声帯萎縮がある60歳以上の人が、ストロー発声を4週間続けたところ、声のかすれや疲れやすさが改善したと報告されています。ただし、対象人数も対照群の有無も効果の大きさも、資料からは確認できませんでした。そのため、言えるのは「改善が報告された」までです。
スクール側のページには「高い声が出にくくなった」「また出るようになるか」といった悩みへの回答もあります。息の使い方や喉の力みを見直すことで出しやすくなる場合がある、という趣旨ですが、個人差があり、病気が原因のこともあると明記されています。
改善データは未確認です。 練習の効果を確かめるには、録音や回数などの記録が必要になります。自分で試す場合は、朝の一声を録音し、聞き返された回数を控えるような簡単な記録から始めるのが現実的です。
自宅トレの例と中止のサイン
婦人画報の記事では、自宅でできるボイトレが複数紹介されています。内容は次のようなものです。
- 大あくびストレッチ:大きくあくびをし、両腕を広げて上半身を伸ばす
- 「ア〜」ボイトレ:歌詞をつけず、好きな歌のメロディを「ア〜」で歌う
- 舌と表情筋:舌の位置を意識しながら、口角を上げて「イー」と声を出す
- 響きボイス:舌と上あごの隙間から息を漏らしてから、声をのせる
- ストロー発声:ペットボトルに水を少し入れ、ストローから息を吐きながら「ウー」と声を出す
どの練習も、無理に長く続けるものではありません。喉の痛み、息苦しさ、声が割れる感じが出たら、その日は中止します。
発声と嚥下(飲み込み)では、喉まわりの器官が関わるとされています。しっかり声を出すことが飲み込みの力を保つことにつながる、という考え方もありますが、資料ではその根拠は示されていません。練習が誤嚥を予防すると言い切ることはできません。
声のかすれや喉の痛みが長く続くなら、練習より先に耳鼻咽喉科を受診してください。 治療中の方は、事前に医師に相談してください。スクール側のページにも同じ注意が書かれています。
スクールか自宅か、判断は金額と目的で
スクールのページによると、エントリーコースは月2回で9,500円(税込)からです。1コマは30分のマンツーマンで、体験レッスン30分は無料です。入会金は15,000円ですが、キャンペーン中は0円とされています。担当講師の指名料と教材費は月謝に含まれます。校舎は池袋・新宿・渋谷・秋葉原の4つで、オンラインでも受けられます。
ただし、キャンペーン終了後の料金は資料に載っていません。[要確認]としておきます。
自宅練習のほうは、ペットボトルとストローがあれば始められます。費用は資料に具体的な金額が出てきません。
スクールの強みは、対面やオンラインで自分の力みや息の使い方を見てもらえることです。一方で、月2回の練習で声が変わるとは資料に書かれておらず、効果の大きさは判断できません。まずは体験レッスンで今の声の状態を聞いてもらい、そのうえで続けられるかを考えるのが一つの方法だと思います。
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