OBSERVATION
2026-10-25
【キコンパ×標高差の恋(3/3)】25.8万円の下山――LINE交換数では測れなかったもの

四か月分の支出を並べたら、合計は25.8万円になった。数字は冷たかったが、そこで初めて僕は、恋の相手ではなく自分の現在地を見た。

一回9,000円は、いつ25.8万円になったのか

一回の参加費だけを見れば、特別な夜の代金として飲み込める。けれど交通費、二次会、アプリ代、繰り返した参加を四か月分並べ直すと、本人記録の集計は25.8万円になった。一時期は『毎週』と書くほど頻度が上がり、行かない週に禁断症状と冗談めかして記すことさえあった。

ここで大切なのは、主催者を詐欺と決めつけることではない。サービスは提供され、僕は自分で申し込んだ。ただ、期待が外れた分を次の一回で取り戻そうとすると、出費の判断基準が『これから得たいもの』ではなく『すでに払ったもの』に引っ張られる。僕に起きていたのは、まさにその循環だった。

『あと2回で卒業』という山頂の先延ばし

七月の記録には『あと2回で卒業』とある。別の日には、もうやめると決めた。それでも案内が来ると予定を調べたくなる。最後の一回、区切りの一回という言葉は、下山を先延ばしにする小さな山頂だった。

やがて方針は『完全撤退』へ変わった。ただし意思の強さだけに頼らず、週末を登山、ランニング、カラオケ、家族や友人との予定で先に埋めることにした。刺激を消すのではなく、翌朝にも残る体験へ置き換える。これは禁欲というより、歩くルートの引き直しだった。

下山は敗北ではなく、生活へ戻る技術

キコンパで得たものがゼロだったとは思わない。知らない人の話を聞く楽しさ、自分の寂しさ、承認されたい気持ち、境界を守る人への敬意。LINEが続いた相手もいた。けれど、その全部を『恋が成立したか』だけで採点すれば、ほとんどは失敗に見えてしまう。

『標高差の恋』の結末を、誰かを手に入れる場面にはしない。僕にとっての着地は、相手の心までの距離を無理に詰めず、自分の家計と時間と日常へ戻ることだった。下山して初めて、次に登りたい山が見える。25.8万円は高い授業料だった。だからこそ、さらに払って回収しようとはしない。そこで学んだ歩幅を、次の生活に使う。

関連動画

家計改善の結果が出るのが早い人!7タイプ(FPナナコ【働く女性のお金の教養教室】)

参照資料

この回の関連本・ノート

支出を責めるためではなく、繰り返しの総額を見えるようにする家計簿の候補です。

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注:金額と方針の変化は本人記録に基づきます。25.8万円は過去に整理した4か月分の集計で、すべての参加者に同程度の費用がかかるという意味ではありません。