OBSERVATION
2026-07-13

作品に宿る美意識を言葉にする。初回作のプロンプトを執筆した記録
最近、ベランダの植物が少しずつ新しい葉を出していて、その成長を見るたびに、私自身の創作もこうして一歩ずつ進んでいるんだと感じます。ただ、時には立ち止まってしまう瞬間もあって。特に小説『標高差の恋』の挿絵をAIで生成する際、頭の中にある鮮明なイメージが、なかなかAIの出力に反映されず、もどかしい思いをすることがよくあります。

AIが返してくれる絵は確かに美しいけれど、どこか「AI特有の無機質な質感」が拭えない。私の作品世界に宿る、あの繊細な感情や空気感をどうすれば伝えられるのだろうと、静かな戸惑いを感じていました。

# 美意識を解剖する視点

「AIはセンスがない」と耳にすることがありますが、それは違うと私は思います。AIにセンスがないのではなく、私たちが自身のセンスを言葉にしていないだけなのだと。自分の頭の中にある理想のイメージをそのまま言葉にしようとすると、どうしても語彙が足りず、結果として的外れな出力しか返ってこないのです。

そこで私は、曖昧な「美しい」という感覚を、もっと物理的、数学的な「制約条件」として捉え直すようになりました。例えば、「光の粒子の細かさ」や「余白の比率を4:6にする」といった具体的な記述をプロンプトに混ぜることで、AIの出力は驚くほど変わります。これはまるで、彫刻家が粘土を削り出すように、美意識を物質化していくプロセスに似ていますね。

# リバース・プロンプティングの儀式

この考え方を実践するために、私はClaude 3.5 Sonnetを活用しています。これは、いわば自分の美学をパラメータ化する「リバース・プロンプティング」の儀式です。具体的には、まず私が理想とするトーンを持つ参考画像を3枚選び、それをClaude 3.5 Sonnetにアップロードします。

そして、その画像からどのような要素が、私の心に響く「美」を構成しているのかを分析させるのです。例えば、『標高差の恋』で主人公が山頂で朝日を浴びるシーンを描きたいとき、私は夜明け前の澄んだ空気感や、光と影のコントラスト、特定の色のトーンをClaude 3.5 Sonnetに読み込ませます。すると、5分間ほどで、画像の特徴が詳細な言葉として抽出されるのです。

この抽出された要素に、さらに私自身のこだわりを加えていきます。例えば、背景の空の色味は#F4F1EAのような特定の色コードで指定し、一貫したトーンを維持するようにしました。これにより、Midjourneyでの出力は、試行回数30回以上の試行錯誤を経て、当初と比べて出力品質が200%向上し、再現性も35%高まったと実感しています。余談ですが、先日、昔の映画を観ていたら、モノクロなのに光の使い方が信じられないほど繊細で、あれをAIに再現させたらどうなるだろうと、つい画面を一時停止してしまいました。あの時代のフィルムの質感も、いつかプロンプトで表現してみたいですね。

# AIと築く、共創のデータベース

制作物のトーン&マナーがバラバラになるという悩みも、この方法で解決の糸口が見えてきました。私はNotionに、自身の美的基準をデータベースとして蓄積しています。抽出した要素や、効果的だったプロンプトのパターンを20種類ものテンプレートとして整理することで、毎回ゼロから考える手間が省け、制作のブレを15%以内に抑えることができました。

これにより、月間12時間もの作業時間を短縮できたことは、フリーランスとして非常に大きなメリットです。AIは、単なる道具ではなく、私の美意識を物質化し、表現を深化させる真の共創パートナーだと感じています。プロンプトは私にとって、現代の詩であり、AIと対話するための、最も洗練された言葉なのです。

# 次なる創作の風景へ

『現代の詩集』プロジェクトも着実に進んでいます。AIとの共創プロセスを記録したテクニカルエッセイも、今後月2本公開していく予定です。この試みを通じて、私の美意識がより鮮明な形を帯びていく感覚があります。

『標高差の恋』の次の章では、主人公が自身の内面と向き合う、ある重要なシーンを描く予定です。その挿絵も、今回ご紹介したメソッドで、きっと私の脳内イメージに限りなく近い形で表現できると確信しています。これからも、言葉の持つ力とAIの可能性を信じて、新しい美の形を追求していきたいです。

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