50代の秋山、UL装備で挑む

50代の秋山、UL装備で挑む

先日、久しぶりに自宅のベランダで古いスモーカーを引っ張り出して、チーズとベーコンを燻してみたんや。煙の匂いに誘われて、独立した娘がひょっこり起きてきてな。「めっちゃ美味しい!」って笑いながら食べてくれた。そんな何気ない時間が、今の自分には何より贅沢に感じられたんよ。

最近、ふと自分のザックの重さを測ってみてゾッとしたんやわ。「いつか使うかも」という不安を詰め込みすぎて、まるで修行僧のような重さを背負って歩いてたんやなって。50代半ば、体は正直や。昔みたいには登れへんっていう現実と、どう向き合うかが最近の大きなテーマになっとるんよ。

琥珀色の朝、リュックを床に置いて

早朝、まだ空が白む前の静寂の中で、使い古した愛着のあるザックを床に置く。このザックが重いんじゃなくて、背負っている自分の執着が重いんやと気づいた瞬間やった。体力的な衰えを突きつけられるのは正直しんどいし、悔しさもある。

でもな、重い荷物をただ減らすんやなくて、何を「今の自分には必要ないか」を見極める作業は、まるで自分自身と対話するような感覚なんや。かつては山頂で飲むために重いコーヒーセットを担ぎ上げたけど、今の自分にとって本当に大切なのは、そこまでして持っていく道具なのか、それともその場所で感じる風の音なのか。そんなことを朝のコーヒーを飲みながら考えてるんよ。

引き算の美学、あるいは執着との訣別

軽量化、いわゆるUL(ウルトラライト)への挑戦は、単に高いギアに買い換えることやない。それは、自分の心の中に溜め込んだ「不安」を一つずつ手放していくプロセスや。

ワイも昔は失敗したわ。軽さを求めて極端な薄手の装備を選んで、冬の山で凍えそうになったりな。高いギアが全てやない。大事なのは、自分の体力と経験に見合った「身の丈」を知ることや。今のワイにとっての軽量化は、半世紀生きてきた自分への、ささやかな「老い支度」なんかもしれんな。余計なものを削ぎ落とすたび、不思議と山との距離が近くなるような気がしてるんよ。

風を纏って、ただ歩くという贅沢

この前、試しに荷物を極限まで絞って地元の山を歩いてみたんや。ザックの重さが肩に食い込まないだけで、まるで自分が風になったような感覚やったわ。一歩踏み出すたびに足が軽やかに運ばれて、景色がいつもより鮮明に、かつ穏やかに目に飛び込んでくる。

山頂で、過剰な道具に頼らずただそこに座っていると、自然の中に自分が溶け込んでいくような贅沢な時間を味わえた。効率や生産性やなんて関係ない。ただ、自分の足で歩き、息を整える。その純粋な喜びに、50代の今だからこそ気づけた気がするわ。

次の山行へ、身軽な心で

秋の紅葉シーズンに向けて、今度はもう少し難易度の高いルートを計画しようと思ってるんよ。これまで培ったノウハウを、ただの自己満足で終わらせるんじゃなくて、若い衆や同じ世代の仲間にも伝わる形で残していきたい。

もちろん、まだまだ試行錯誤の途中やし、体力の衰えと付き合っていくのは楽やない。でも、引き算の登山を覚えた今、山を歩くのがこれまで以上に面白くなってきたのも事実や。次にどんなギアを削ぎ落として、どんな景色に出会えるのか。また山から帰ってきたら、ここで報告させてもらうわな。

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