ULは次代への遺言だ

薄暗い早朝、霧が立ち込める中でザックの重さを確認する。ふと、若かった頃の自分がいかに無駄な荷物を背負い込んでいたか、今の季節の朝露の匂いを嗅ぎながら思い出すんや。

最近、山道でふと足を止めて思うんやわ。UL、つまりウルトラライトっていうのは、単に道具を軽くすることやない。自分の人生から何を削ぎ落として、何を残していくか。その究極の取捨選択なんやないかってな。

ザックを降ろせば、空が広くなる

登山の常識は、重い荷物こそが正義やと思われていた時期もあった。でも、歳を重ねてみると分かる。不要な執着を背負っているのは、山の上だけやない。普段の生活でも同じなんや。

荷物を減らせば視界が開ける。心の重荷も同じで、余計なものを手放した瞬間に、本当の意味で周りが見えてくるんや。早朝の山道で深呼吸した時に感じるあの静けさは、身軽になった者だけが味わえる特権やで。

山頂で考える、最期のパッキング

山の上でラジオを聴いていると、世の中の慌ただしさがノイズとして聞こえてくる。時代はどんどん変わるけど、山の中に持ち込む道具は、どれも自分という人間が選んできた結晶や。

この古びたチタンのマグカップ、ボロボロになったレインウェア。自分が山から降りられなくなった時、この装備はただの残骸になるのか、それとも誰かの役に立つのか。そんなことを考えながら、今の自分が選ぶギアは、未来への静かなメッセージなんやと思うんや。

地図にはない、記憶の標高点

ワイの息子はもう独立したけど、たまに背中を見ていると、自分が歩いてきた道が彼の中に少しずつ刻まれているのを感じる。それは決して金や土地といった物質的なもんやない。

山道で学んだ判断力や、厳しい自然の中で培った諦めない心。そういう、目には見えない経験という名の財産を、どうやって次の世代へ渡していくか。それを考えることこそが、今ワイが取り組んでいる一番のプロジェクトなんやと思う。

次の谷へ、身軽なまま歩き出す

家に戻って、靴紐を締め直す。次に登る山の予定を立てる時、不思議と気持ちが軽くなっている。あれもこれもと詰め込む必要はない。最低限の装備と、これまで培った知恵があれば、どこまでだって行けるはずや。

人生もそうやって、少しずつ身軽になっていくのが理想なんやろう。無理に何かを残そうとするんやなくて、軽やかに歩いた足跡が、結果として誰かの道しるべになれば、それで十分やないか。さて、次の週末はどの谷へ行こうか。期待はそれだけでええ。

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