OBSERVATION
2026-06-30

Googleはシェアを伸ばした。でもユーザーには選ばれていない
先週、クライアント企業の情報システム部門のメンバー数名と話す機会があった。AIツールの話になって「Gemini、使ってる人います?」と聞いてみたら、全員が「使ってはいるけど……」という歯切れの悪い返答だった。

この「でも」の後に続く言葉が、今のGoogle AIの実態を表しているように思う。

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シェアと好感度のズレ

市場シェアのデータを見ると、GoogleのAI製品群は確かに数字を伸ばしている。Androidデバイスへの標準搭載、Google検索へのAI機能統合、Workspaceへの組み込み——配布網の強さがそのまま「使用者数」に変換されている形だ。

ところがユーザー満足度の話になると、一気に様相が変わる。「自分から選んでGeminiを使っている」というユーザー比率は、ChatGPTやClaudeと比較すると明らかに低い。「入っていたから使っている」という受動的な層が大半を占めているのが現実だ。

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Geminiの現在地を整理する

Gemini(Google DeepMind提供)の料金体系を整理する。

  • 無料版:Gemini 1.5 Flash相当、使用量制限あり
  • Gemini Advanced:月2,900円(Google One AI Premiumプランに含む)
  • Gemini API:Gemini 1.5 Flashが1Mトークンあたり$0.075、Gemini 1.5 Proが$3.50

コンテキスト長は最大100万トークン(Gemini 1.5 Pro)で、これは競合を数値上では大幅に引き離す。大規模なドキュメント分析やコードベース全体を投げ込む作業では、スペック表だけ見れば最強クラスだ。

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競合との正直な比較

ChatGPT Plus(OpenAI)は月額$20(約3,100円)。GPT-4oベースで、コード実行・画像生成・Webブラウジングを一本化して使える。プラグイン・サードパーティ連携の層の厚さは現時点でトップ。ユーザー数の多さがそのままエコシステムの充実度になっている。

Claude Pro(Anthropic)も月額$20(約3,100円)。長文処理と指示への忠実さが際立っていて、私自身、技術レポートの草稿を書くときはClaudeを使う機会が増えた。「言ったことをちゃんとやってくれる」という実感は、Geminiより上だと感じる。

Geminiの100万トークンコンテキストは確かに凄い。が、日常のユースケースでそこまで使い切る場面はほとんどない。「数字は最強、使用感は普通」というのが率直な評価だ。

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使える人・使えない人

Geminiが使える人: Google Workspaceをフル活用している組織。Gmail・Googleドキュメント・スプレッドシートとのシームレスな連携を重視するなら、Gemini Advancedは素直に有力候補になる。

Geminiが刺さらない人: ChatGPTで確立したワークフローを崩したくないエンジニア、またはOpenAI互換APIを中心にシステムを組んでいるケース。サードパーティ連携の厚みにはまだ差がある。

フリーランスとして複数クライアントにAI導入を提案していると、「ツール選定の相談」が増えてきた。そのときに「Geminiはとりあえず入っているので使い方を教えてほしい」というパターンと、「ChatGPTを本格導入したい」というパターンでは、温度感がまったく違う。前者は義務感、後者は意欲だ。

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100年後、「シェア」は死語になる

余談だが、今回この話を整理していて、ふと100年後を想像した。

100年後、「AIの市場シェア」という概念は消えていると思う。AIは電力や通信インフラと同様にコモディティ化し、「どのAIを選ぶか」という問い自体が成立しなくなるはずだ。残るのはインターフェースの競争ではなく、演算リソースとデータパイプラインを誰が握るかというもっと泥臭い争いだろう。

そう考えると、Googleの「配布網でシェアを取る」戦略は長期的に理にかなっているかもしれない。短期的な「愛され度」より、インフラとして社会に定着することを狙っているのだとしたら、今の数字の伸びには別の意味がある。

ちなみにまったく関係ない話だが、今週ベランダの植木の手入れをしたら、思いのほか時間がかかった。AIの話をしながら土いじりをするのは、なかなかアナログな週末だった。

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最終判定:「使えるが、選ばれない」

Geminiは現時点で「使えるが、積極的には選ばれないツール」だ。

Google配布網による数字の伸びは本物だが、ユーザーが自発的に選ぶ局面ではChatGPT・Claudeに軍配が上がる構図は変わっていない。

試すなら、すでにGoogle One(月1,300円〜)ユーザーであればAI Premium(月2,900円)へのアップグレードが最も低摩擦だ。APIを叩く用途なら、Gemini 1.5 Flashの低コスト帯(1Mトークン$0.075)はコスト検証の価値がある。

「シェアを取ること」と「ユーザーに選ばれること」は、別の勝負だ。Googleは前者を取った。後者を取れるかどうかは、まだ決まっていない。

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