
白黒パケへの落書きブーム
どうやらポテトチップスの白黒(銀色)の限定パッケージに、手書きでイラストを描くのが流行っているらしい。ただ、それが一瞬で生成AIを使った作品や、デジタル合成ばかりになってしまってつまらない、と嘆く声が出ているそうだ。
これを聞いたとき、私は数年前に自分がクライアントの業務効率化で大失敗したときのことを思い出した。
効率化の罠と手触り感
当時、私はある中小企業の社内報の作成プロセスを完全に自動化する仕組みを作った。生成AIを使って、箇条書きのデータから一瞬でそれっぽい記事が出来上がるシステムだ。
結果はどうだったか。誰も読まなくなった。
効率は100倍になったが、それまであった「今週の〇〇さんの失敗談」みたいな、泥臭い手触り感が綺麗さっぱり消えてしまったからだ。今回のポテトチップスの件も、これと全く同じ構造だなと感じる。
ツールとしては ChatGPT Plus (月額20ドル)や Midjourney を使えば、数秒でプロ顔負けのイラストが生成できる。コンテキスト長も長く、指示(プロンプト)の精度さえ高ければ、パッケージに完璧に馴染む合成画像なんて一瞬で作れる時代だ。
だけど、みんなが本当に見たかったのは、そのパッケージという「不自由なキャンバス」に、人間がペンを持って四苦八苦して描いたというプロセスそのものだったわけだ。
使える人と使えない人の境界
こういう現象を見ていると、AIを「使える人」と「使えない人」の差がはっきりと見えてくる。
使える人:技術の裏側にある「文脈」を理解し、あえて使わない引き算ができる人。
使えない人:手段が目的化して、何でもかんでもAIに放り込んで出力の凄さだけでドヤ顔をしてしまう人。
余談だけど、これ全然関係ないんだけど、最近近所のスーパーで売っている惣菜のコロッケが急に味が変わってショックを受けている。厨房の人が変わったのか、レシピが効率化されたのか。前の方が少し不揃いだけど美味しかった。
技術的に言えば、今の生成AIは画像のディテールや文字の配置の正確性において、競合の Stable Diffusion なども含めて凄まじい進化を遂げている。だけど、人間の「感情の琴線」に触れるかどうかは、また全く別の話だ。
構造を見極める目を持つ
ITコンサルタントとして多くの現場を見てきたが、エンジニアもビジネスパーソンも、常にこの「マクロな構造」を冷静に見極めないといけない。AIは圧倒的に強力な道具だ。それは間違いない。使いこなせる者が勝つ世界線に私たちは生きている。
しかし、技術の表面的なトレンドに乗っかるだけでは、今回のように「なんか残念」と言われて終わる。
私たちは、AIという強力なエネルギーをどこに投入すべきで、どこにあえて人間の泥臭さを残すべきなのか。その最適解を常にデザインし続けなければ、生き残ることはできないだろう。
皆さんは、この白黒パッケージのAI化について、どう思いますか?
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