先日も、アプリで知り合った方とカフェでお茶をしたのですが、お互いの離婚歴や、親の介護の話になり、会話の途中から、まるで人生相談のようになってしまいました。決して悪い時間ではなかったけれど、帰り道、心身の倦怠感がどっと押し寄せてきて。ふとベランダの鉢植えを見ると、水やりを忘れて少し枯れかけていました。ああ、私自身も、こんな風に枯れていくのかな、なんて虚しい気持ちになったんです。このままではいけない、漠然とした焦燥感が募るばかりでした。
背伸びの贅沢?いいえ、これは『私』を取り戻す投資
そんな時、ふと目にしたのが、都内の高級ホテルのスパの広告でした。キラキラした写真を見ては、「私には縁がない世界だな」と、いつもすぐに目を逸らしていました。平均25,000円以上、リッツ・カールトンに至っては120分のシグネチャートリートメントが42,000円からと聞いて、やはり躊躇してしまいます。「自分にはもったいない」という内なる声が、私を留めようとします。
でも、同時に「この疲れを何とかしたい」という気持ちも強くて。先日、同僚の恵子さんとランチをした時も、彼女が「アリスさん、最近ちょっとお疲れじゃない?たまには自分を甘やかさないとね」と心配してくれて。恵子さんは私より少し年下ですが、仕事も子育ても頑張っていて、いつも輝いている人です。彼女の言葉が、私の心に深く響きました。
「たまには、いいんじゃないかな」
そう思ったら、急に思い切って予約してみようという気持ちになったんです。高級スパは「特別な日」だけのものではない、定期的なメンテナンスとして利用することで、かえって医療費やサプリメント代が年間で数万円も削減できる、なんて話も耳にしましたし。そう、これは単なる贅沢ではなく、未来の自分への投資なんだと、自分に言い聞かせました。予約ボタンを押す瞬間は、少しの緊張と、それ以上の大きな期待感がありました。
指先が触れるたびに、心がほどけていく
当日、初めて訪れるザ・リッツ・カールトン スパ東京の入り口をくぐると、そこはもう別世界でした。アロマの優しい香りが漂い、控えめな照明と静かな音楽が、都会の喧騒を忘れさせてくれます。まるで、どこか遠い異国の地に足を踏み入れたような感覚です。
セラピストの方とのカウンセリングでは、私の今日の体調や、特に気になる部分を丁寧に聞いてくださいました。最近の睡眠の質や、肩こりの具合、心の状態まで、細やかに寄り添ってくれるそのプロフェッショナリズムに、すでに安心感を覚えました。まるで、私が開発しているロボットの精密な調整作業のように、私の身体と心を解像度高く分析してくれるような気がしました。(デジタル領域から物理的な実機開発への転換を論理化し、Chanmoto Roboticsの第一歩を言語化できたことで、プロジェクトへの解像度が飛躍的に高まった、あの時の感覚と似ています。)
施術が始まると、温かいオイルが肌に触れ、セラピストの指先が凝り固まった肩や背中をゆっくりとほぐしていきます。その一つ一つの動きが、まるで匠の技を見ているようでした。普段の生活で、こんなにも自分の身体に意識を向けることなんてありません。指先が触れるたびに、奥底に溜まっていた疲労がじんわりと溶け出し、心がほどけていくのを感じました。
思考はいつの間にか静まり、ただ温かさと安らぎに包まれていました。時折、過去の自分を振り返ったり、これからどうしたいか漠然と考えたり。身体の凝りがほぐれていくのと同時に、心の奥にあった重たいものが軽くなっていくようでした。こんなにも深くリラックスしたのは、一体いつぶりだろう。もう少しで涙がこぼれそうになるのを、必死でこらえました。
鏡に映る、少しだけ優しい顔
施術が終わって、鏡に映った自分を見て、はっとしました。顔色はワントーン明るくなり、目元の疲れも取れて、どこか表情が柔らかくなっているように見えたんです。何よりも、心の中がとても穏やかで、澄み切った水のように静かでした。まるで、長年使い込んだ道具を丁寧に研ぎ澄まし、本来の輝きを取り戻したような感覚です。
この体験は、単なる身体のリフレッシュではありませんでした。自分自身を労わり、大切にすることの重要性を、改めて教えてくれたのです。これまで、婚活や仕事で「もっと頑張らなくちゃ」と自分を追い詰めてばかりいましたが、たまには立ち止まって、自分を甘やかす時間も必要なのだと心から思えました。
この癒やしが、私の未来を変える兆しだと信じています。心と体が整ったことで、婚活に対する焦りも少し和らぎました。きっと、穏やかな心でいれば、自然と良い出会いにも恵まれるでしょう。承認欲求は生存本能だと私は考えていますが、他者からの承認を求める前に、まず自分自身を肯定する土台ができたような気がします。
物理的なスパ体験で得た静寂と集中力は、またデジタル社会で戦うための、私にとっての強力な武器になるでしょう。これからは「特別な日」だけでなく、定期的に自分を労わる時間を作ろうと決意しました。例えば、月に一度はこうした時間を設けるとか。まずは自分ができる小さな一歩から。この穏やかな気持ちを忘れずに、これからの日々を歩んでいきたいです。