先日、会社で経理を担当している妻の恵子と、子供たちの将来の話になった。「そろそろ、具体的な資産承継のプランを考え始める時期じゃない?」と私が切り出すと、恵子は少し考え込んだ顔で「でも、まだ早いんじゃない?子供たちに投資の話なんて」と返してきた。世間でも「子供に投資はまだ早い」という通説は根強く、多くの親が同じような考えを持っているだろう。

だが、私はこの通説に少々違和感を覚えている。データは時に残酷な現実を突きつけるものだ。とある調査では、10歳未満で投資を始めた子供の方が、成人後の金融リテラシーテストで平均10%高いスコアを出しているという結果が出ている。これは何を意味するか。早期の金融教育が、長期的に見て子供の経済的自立に大きなROI(投資対効果)をもたらす可能性を示唆している。漠然とした不安を抱えたまま何もしないのは、機会損失でしかない。

「まだ早い」は幻想だ

子供に「お金の話」をすること自体をタブー視する風潮が、未だに根強い。だが、私が経営者として痛感するのは、銭は働かせるものだということ。眠らせていては、ただ目減りしていく一方だ。それは子供の未来においても同じ。

妻の恵子のように「何から始めればいいか分からない」「手続きが複雑そう」といった声はよく聞く。特に「ジュニアNISAが2023年末で終了したから、今からでは意味がない」と思い込んでいる人も少なくない。しかし、それは大きな誤解だ。投資の世界では、情報に対する正しい理解が何よりも重要になる。

ジュニアNISA、非課税は続く

「ジュニアNISAはもう終わった制度だろう?」

先日、長男の健太に将来の夢について聞かれた時、ふと頭をよぎった疑問だ。会社を経営する身として、子供たちの未来に具体的な資産をどう繋いでいくかは常に考えている。世間ではジュニアNISAが2023年末で終了したと騒がれたが、これは新規の投資枠がなくなっただけで、既存口座で積み立てた資金の非課税運用は、子供が18歳になるまで継続できる。この非課税メリットは、長期で考えれば想像以上に大きい。

例えば、月々5,000円を年利5%で18年間積立投資した場合、元本108万円が約190万円に成長するシミュレーションがある。これはあくまで一例だが、複利の力を非課税で享受できる価値は計り知れない。まるで、駅の改札で使い終わった回数券を捨てずに持っておいたら、実はまだ数回分残っていて、有効期限まで無料で乗り続けられるようなものだ。新規購入はできなくとも、既に手に入れた非課税の恩恵はしっかり使える。

この仕組みを理解し、既存の資産を最大限に活用する戦略こそ、今、私たちが子供たちのためにできることだと考えている。

口座開設、最短3日で完了

「手続きが複雑そう」という懸念も、行動を阻む大きな壁になっているようだ。だが、実際のところは驚くほど簡素化されている。私も先日、子供たちの口座開設について調べてみたが、楽天証券やSBI証券といった主要ネット証券であれば、最短3営業日で開設が可能だ。

必要な書類は、親権者の本人確認書類、子供のマイナンバーカード、住民票の3点程度。会社を経営していると、日々の手続きの煩雑さに辟易することもあるが、これくらいの書類で済むなら、週末の少しの時間で片付く。さらに、親権者自身の口座と同時に開設することで、手続きを効率化できる証券会社も多い。これは、まるで役所の窓口で複数の手続きをまとめて済ませるようなものだ。

実際、2023年時点でジュニアNISA口座開設数は約45万件に達し、前年比で20%以上の増加を見せている。これだけ多くの親が行動している事実が、手続きのハードルが低いことを物語っているだろう。

RSIツール、投資の羅針盤

子供名義の口座を開設し、少額の投資を始めたら、次に考えるべきは「どうやって教えていくか」だ。ただお金を預けるだけでは、金融教育にはならない。

私自身、テクニカル分析を駆使して相場と向き合ってきた経験から、子供たちには「市場の心理を読み解く力」を養ってほしいと考えている。そのためのツールの一つとして、RSI(Relative Strength Index)は非常に分かりやすい。例えば、RSIが70%を超えたら「買われすぎ」、30%を下回ったら「売られすぎ」といった基本的な見方を教える。これは、市場が過熱しているのか、それとも冷え込んでいるのかを示す、いわば投資の羅針盤のようなものだ。

以前、RSIの数値だけで「これは底だ!」と飛びつき、痛い目に遭ったことがある。数値はあくまで目安であり、絶対ではない。そうした失敗談も交えながら、子供たちに市場のリアルを伝えていきたい。

子供名義の証券口座で積み立てた投資信託を親子で定期的に確認することで、子供の経済ニュースへの関心が平均15%向上したという調査結果もある。これは、ただ知識を教えるよりも、実際に自分のお金がどう動いているかを見せる方が、はるかに効果的だということだろう。

例えば、20万円以下の国内株の中から、子供にも理解しやすい事業内容の企業を選んでみるのも良いかもしれない。おもちゃメーカーや食品会社など、身近な企業の株価の動きを見ながら、RSIの動きを観察する。もちろん、特定の銘柄を推奨するわけではないし、投資判断は自己責任だ。しかし、そうした実践を通じて、長期的な視点でのポートフォリオ構築や分散投資の重要性を肌で感じてほしい。

余談だが、先日ベランダで育てているミニトマトが予想外に豊作で、子供たちが喜んで収穫していた。小さな種から、手をかけることで実がなる喜び。投資もまた、小さな行動から、時間をかけて実を結ぶプロセスは似ているのかもしれない。

銭を働かせる親の責任

子供たちの将来を考えれば、金融教育は避けて通れない道だ。私たち親が、リスクと向き合い、銭を働かせることの重要性を自ら行動で示すことが、何よりの教育になる。

「まだ早い」という幻想を打ち破り、ジュニアNISAの非課税メリットを最大限に活かす。そして、複雑に思える口座開設も、一歩踏み出せば意外と簡単だ。RSIのようなツールを使い、親子で市場のリアルを学ぶ。

次世代への資産承継は、単なる財産の移行ではない。それは、私自身の投資哲学と、子供たちの未来を一体とするものだ。まずは、この週末にでも、妻と一緒に子供たちの口座開設手続きに着手しようと思う。行動なくして、未来は拓けない。