もう疲れた、でもまだ輝きたい
SNSを開けば、若い人たちが美味しそうなキャンプ飯を囲んで、キラキラした笑顔で写っている。正直、羨ましいと思う気持ちと、「私にはもう無理だ」という諦めの気持ちが半々でした。週末のキャンプだって、準備や片付けを考えると、それだけで疲れてしまう。でも、心の奥底では、まだ何か楽しいことを見つけたい、誰かに「いいね」って言われたい、そんな静かな闘志がくすぶっていたのです。
「手抜き」じゃない、「賢い」私
そんなある日、スーパーの冷凍コーナーで「俺のフレンチ監修 贅沢パエリア」というミールキットを見つけました。一瞬、「手抜きかな…」という罪悪感がよぎったのですが、パッケージに書かれた「調理時間15分」の文字に惹かれ、思い切って買ってみたんです。キャンプに持って行く時も、事前にカット済みの野菜をジップロックにまとめておけば、現地での準備は本当に楽。
当日、キャンプ場でSOTO レギュレーターストーブ ST-310を使い、言われた通りに調理を始めると、驚くほど手軽に、あっという間に本格的な香りが立ち込めてきました。1人あたり約800円で、こんなに贅沢な気分が味わえるなんて。出来上がったパエリアは、魚介の旨味がぎゅっと凝縮されていて、お店で食べるような深い味わい。娘も夫も「これ、本当にママが作ったの?」と目を丸くしていました。これなら、調理時間を7割も削減できるというのも納得です。
「いいね」が欲しい、この歳になっても
家族に絶賛されたパエリアを見て、「これを写真に撮って、SNSに投稿してみよう」と、柄にもなく思ったんです。50代にもなって「いいね」が欲しいなんて、ちょっと恥ずかしい気持ちもありました。でも、せっかく作った美味しい料理、誰かに見てもらいたい。
私はiPhone 15 Proのポートレートモードを使い、Peak Design トライポッドに固定して、慎重にパエリアを撮影し始めました。湯気や、背景に広がる木々の緑をどう活かすか。試行錯誤しながら何枚も撮り、家に帰ってからは無料の編集アプリ「Snapseed」で色合いや明るさを調整しました。最初は慣れない作業に戸惑いましたが、少しずつ写真がプロっぽくなっていくのが面白くて。
画面の向こうの私と、現実の私
そして、ドキドキしながらSNSに投稿。数時間後、スマホを開くと、驚くほどたくさんの「いいね」とコメントが届いていました。「すごい本格的!」「お店みたい!」という声に、心がふわっと軽くなるような感覚を覚えました。平均いいね数が20%も増えたんです。こんなに嬉しい気持ちになるなんて、自分でも予想していませんでした。
もちろん、この小さな「映え」が、母の介護や夫との関係といった現実の悩みを根本的に解決してくれるわけではありません。日々の忙しさは相変わらずです。でも、あのキャンプの夜、パエリアを囲んで家族が笑顔になったこと、そして私が撮った写真がたくさんの人に「いいね」してもらえたこと。それは確かに、私の心にささやかな光を灯してくれました。
「手抜き」だなんて、もう言わせません。これは、50代の私が、自分らしく、賢く、そして少しだけずる賢く、日常に刺激と喜びを見つけるための「反抗」なんです。次にキャンプに行く時は、どんな「映え」メニューに挑戦しようか。そんなことを考えていると、なんだか毎日が少しだけ楽しくなる気がします。
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