「これ、お店の味だよ!」「お袋の味を超えたな!」
家族から次々に飛び出す絶賛の声に、私の心は満たされました。この瞬間が、何よりも私を奮い立たせるんです。でも、その喜びのすぐ裏で、私の頭の中では別の計算が始まっていました。どの角度から撮れば、この幸せな光景が一番「いいね」を稼げるだろう、と。
映えと現実の狭間で
キャンプ飯の写真を撮る時、いつも心が揺れます。正直なところ、SOTOダッチオーブンで作るローストポークは見た目も豪華で「映え」はするけれど、手間がかかるのが難点です。一方で、メスティンで作る簡単アヒージョは手軽で美味しいけれど、地味に見えないか心配になる。SNSで「いいね」300、コメント10件以上を目指すなら、やはり見た目のインパクトも大切だと考えてしまいます。
でも、最近見聞きした話では、凝った料理よりも「5分でできる簡単レシピ」のような手軽さをアピールした投稿の方が、実は保存率が2倍以上になることもあるのだとか。高価なキャンプギアで揃えた完璧な写真より、使い込んだ愛用品が写り込んでいる写真の方が、リアルなキャンプ感を演出し、エンゲージメントが20%も高まることもあると聞きました。GoPro HERO11で動画を撮るか、スマホで静止画を撮るかでも迷います。15秒以内のショート動画は、静止画よりエンゲージメント率が25%も高いというデータもあると聞くと、ますますどうすればいいのか分からなくなります。
誰かのための投稿?
50代を目前にして、親の介護問題や、成長して少しずつ距離を感じる子供たち、そして夫との倦怠期。現実の私は、SNSで演出したい「完璧な家族」とは少し違う場所にいます。そんな中で、SNSに投稿して「いいね」を求めるのは、どこか空虚な行為のように感じることもあります。まるで、仮想空間で「幸せ」を演じているような。
子供がスマホで夢中になって「いいね」を追っている姿を見ると、自分も同じように誰かの承認を求めていることに気づかされ、少し恥ずかしくなります。#キャンプ飯や#ソトごはん、#ファミリーキャンプといったハッシュタグを選ぶ時、誰かに見つけてほしい、誰かに認められたいという深層心理が働いているのでしょう。CAMP HACKやゆるキャン△のようなメディアで理想的なキャンプライフを見るたび、自分の現実とのギャップを感じてしまうのも事実です。
私が選ぶ、リアルな一枚
今回、私は最終的に「焚き火で炙るマシュマロチョコサンド」の写真を投稿することにしました。ローストポークのように手間がかかる料理ではありませんでしたが、家族みんなで焚き火を囲み、笑いながら作った、最高の思い出が詰まった一品です。焦げ付いたマシュマロの跡や、子供がチョコをこぼした小さなシミも、そのままにすることにしました。
Adobe Lightroomで色味を調整しつつも、あえて完璧な「映え」は求めない。投稿は平日20時〜22時の間に、#キャンプ飯、#ソトごはん、#家族時間、#簡単キャンプ飯、#愛用ギアの5つのハッシュタグを添えて。レシピは「マシュマロを炙る」「チョコとビスケットで挟む」「完成!」の3ステップに簡略化しました。これで「作ってみたい」と思ってくれる人がいたら嬉しいな、と。
投稿後、すぐに多くの「いいね」やコメントが届きました。「これなら私にも作れそう!」「焚き火を囲む家族の笑顔が最高」といった温かい言葉に、心がじんわりと温かくなりました。完璧な「映え」を追い求めるよりも、飾らない「リアル」な幸せを共有することの方が、ずっと大切なのかもしれません。そして、それがきっと、私自身の自己肯定感にもつながるのだと、今はそう思っています。
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