
真っ赤なリップを塗るたび、母という名の重い鎧を脱ぎ捨てる秘密の儀式
ポーチの奥に潜む禁断の赤
そんな窮屈な日常の中で、私には誰にも言えない密かな愉悦があります。ポーチのいちばん奥、使い古したペンシルや絆創膏の下に隠してある、一本の鮮やかな赤。それは、子供たちが寝静まった後や、ふとした瞬間にだけ取り出す、私のための闘争心です。
子供の頬に触れたら汚してしまうかもしれないという怯え。「母親らしくない」と誰かに指さされるのではないかという妄想。 その背徳的なスリルこそが、今の私を繋ぎ止める劇薬になっています。誰のためでもない、私という女の輪郭を確かめるための、たった180秒の秘密の儀式。鏡の中の自分とだけ向き合うその時間は、何にも代えがたい静寂をもたらしてくれます。
鎧を脱ぎ捨てて女に戻る
不思議なもので、その真っ赤な色を唇に宿すと、寝不足でどんよりとくすんでいた肌までが不思議と意志を取り戻したように見えるのです。疲れた母親の顔ではなく、かつて持っていた、自分自身の強さを思い出させてくれる。
世間では、母親は控えめであるべきだという空気がどこか漂っていますよね。でも、そんな空気感に合わせて自分を消し去ってしまったら、一体どこに私が残るのでしょうか。あえて強い赤を選ぶことは、周囲への反抗ではなく、自分を守るための盾なのだと、今は強く感じています。誰にも見られない場所で、鏡に映る自分だけに微笑む。その瞬間だけは、私は「誰かの妻」でも「誰かの母」でもなく、ただの中村あかねに戻れる気がするのです。
余談ですが、最近スーパーで売っていた季節限定の栗のスイーツが、あまりにも美味しそうでつい二つも買ってしまいました。家に着くまでに食べてしまおうか迷いながら歩く、あんな風に誰にも干渉されない小さな楽しみを、これからも大切にしていきたいものです。
明日へ向かう牙を研ぐ
夜、洗面所でクレンジングを使ってその赤を落とす時、いつも少しだけ名残惜しさを感じます。綺麗に拭い去れば、明日の朝にはまた公園の砂埃と、幼稚園の送迎という戦場が待っている。
それでも、唇に纏ったその赤は、私の記憶の奥深くに「私はここにいる」という確かな刻印を残してくれました。明日もまた、私はしれっとした顔をして、誰にも気づかれないようにこの色の力を借りて、日常という名の戦場を歩いていくのでしょう。自分を再発見するこのプロジェクト、これからも少しずつ、日常の隙間を見つけて記録を積み重ねていこうと思います。次はどんな色を忍ばせようか、そんなことを考えながら、今夜は静かに眠りにつきます。
🛒 おすすめ商品
- M・A・C マック リップスティック Frost Lipstick MAC...
- ゼロマットリップスティック/Zero Matte Lipstick 3g/...
- M・A・C POWDER KISS マック パウダー キス ヘイジー マッ...
- フュージングカラーリップス(4.1g) (01-13,EX08)|LUNA...
- M・A・C Nudes マック MACXIMAL SILKY MATTE ...