最近、AIを活用した業務効率化について考える中で、ふと「なぜ、これまでのチケット駆動開発だけでは物足りないのか?」という疑問にぶつかりました。Redmineなどでタスクを管理し、一つひとつを確実にこなしていく。これはこれで非常に堅実で、仕事の基本とも言える手法です。しかし、AIという強力なパートナーを迎え入れた今、私たちはもっと先へ行けるはずだと感じています。
最近、KansaiLifeHackerさんの「LLMに記憶を持たせる技術」に関する記事を拝見し、非常に刺激を受けました。これまでのAI活用は、いわば「その場限りのやり取り」が中心でした。質問を投げれば答えてくれる。でも、前回の文脈や、私が過去にどんな試行錯誤をしてきたかまでは覚えていない。だからこそ、毎回ゼロから説明し直す必要があり、そこに大きなロスが生じていたのです。
チケット駆動開発の限界も、まさにここにあります。チケットは「今やるべきこと」を定義するには最適ですが、「これまでの経緯」や「個人の思考の癖」といった文脈を保持するのには向いていません。AIに記憶を持たせるということは、単なるチャットボットを、自分の思考を理解する「相棒」へと進化させるプロセスです。
では、具体的にどうやってAIに記憶を持たせ、日々の業務を楽にすればいいのでしょうか。私が実践している、あるいは検討しているステップを共有します。
まず一つ目は、「外部知識ベースの構築」です。AIにすべてを覚えさせるのではなく、自分の過去のメモや、プロジェクトの知見をベクトルデータベースなどに蓄積し、必要に応じてAIがそれを参照できるようにする仕組みです。これにより、AIは「あなた」という文脈を理解した上で回答を生成できるようになります。
二つ目は、「フィードバックループの自動化」です。例えば、私がRedmineのチケットを自動生成するボットを作った際も、ただ作るだけでなく、その結果をAIに評価させ、改善点を次のプロンプトに反映させる仕組みを意識しました。AIが「自分の過去の失敗」を記憶していれば、同じミスを繰り返すことはなくなります。これが、チケット駆動の「点」の管理を、「線」の成長へと変える鍵です。
もちろん、これには壁もあります。記憶の精度をどう保つか、プライバシーをどう守るかといった技術的な課題は山積みです。しかし、完璧を目指して立ち止まるよりも、まずは「自分の思考のログ」をAIに渡すところから始めるのが現実的です。例えば、日々の振り返り日記をAIに読み込ませるだけでも、AIはあなたの優先順位や判断基準を学習し始めます。
AI万歳、と言える時代だからこそ、ツールに使われるのではなく、ツールを「知人」にカスタマイズする楽しさを味わいたいものです。チケットを消化するだけの毎日から、AIと共に知見を積み上げ、自分だけの「最強の相棒」を育てる毎日へ。皆さんも、まずは小さなログの蓄積から始めてみませんか?
技術はあくまで手段です。大切なのは、その技術を使って、自分がどんな未来を作りたいか。これからも、試行錯誤のプロセスを楽しみながら、皆さんに役立つ知見を共有していければと思っています。