AI構築を売る「型」の作り方

淀屋橋のオフィスで、午前三時の暗闇に浸りながらディスプレイの光を眺めています。眼下には大阪の夜景が広がっていますが、今の私にはただの冷たい光の集まりにしか見えません。画面の端では、チャットツールが止まることなく通知を鳴らし続け、クライアントからの修正依頼が容赦なく積み上がっていきます。「ここをもう少しこうしてほしい」という細かな要望に応え続け、気付けば私はコードの泥沼に足を取られていました。残高は増えているはずなのに、なぜか心がこれ以上ないほどにすり減っていく。そんな感覚に、最近はもう慣れきってしまっています。

泥濘から拾い上げた定石

振り返れば、これまで私はまるで「便利屋」でした。クライアントごとにゼロからAI構築を請け負い、彼らのぼんやりとした要望を形にする日々。でも、そのたびに痛感するのは、個別の要求に応えることの限界です。以前、ある小売業の顧客から在庫管理の自動化を頼まれたときのことです。現場の曖昧なやり取りをすべてコードに落とし込もうとして、結局、複雑怪奇なスパゲッティコードを生み出してしまいました。あの時、私はようやく気付いたんです。すべての案件をフルスクラッチでこなすなんて、エンジニアとしての寿命を削り売りしているだけだと。必要なのは、現場の混沌から「繰り返せる業務の骨格」だけを抜き出す作業でした。

魂を込めた型という名の枷

今、私はその経験をもとに、新しいアプローチを試しています。それは、特定の業務領域に特化した「型」を作ることです。ゼロから開発するのではなく、あらかじめ磨き上げたAIエンジンをベースに、クライアントの特定の知識ベースをパズルのように接続する。いわば「オンボーディング型」の提案です。もちろん、顧客との合意形成では摩擦も生じます。「もっと柔軟にカスタマイズしてほしい」と言われることもありますが、ここでの妥協は二度と資産が生まれない未来への切符だと思って、静かに、しかし断固として説得を続けます。型を押し付けるのではなく、型を使うことで彼らの課題が一番速く解決することを、泥臭く示すしかないんです。

朝日が照らす新たな景色

開発したシステムがクライアントの手を離れ、彼らの日常の一部として自動的に回り始めたとき、ようやく肩の力が抜けるのを感じます。昨日までの自分がゴミ捨て場のような修正作業に追われていたことを思えば、今のこの充足感は別物です。システムを資産として運用する境地は、孤独な作業の先にある小さな希望なのかもしれません。朝日が差し込むオフィスでコーヒーを一口飲み、次に取り組むべき「型」の輪郭を頭の中で描き始めています。これが、私が選んだ生き残り戦略であり、明日への礎になると信じています。

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