
小さな部品と向き合う夜
机の上に広げた6,500円のRaspberry Pi 4 Model Bと、580円のDHT11温度センサーを見つめながら、どこか遠いところに来てしまったような気恥ずかしさを覚えています。50代という年齢になって、まさかこんな小さな基板やジャンパーワイヤーを触ることになるとは思っていませんでした。効率やスマートさだけを求めてきた日常から少し離れ、自分の手で何かを形にしたいという衝動だけに動かされています。
配線の迷路で立ち止まる
OSのインストールやPythonのGPIOライブラリの設定には合計125分ほどかかりましたが、一番苦労したのは複雑なピン配置の確認でした。秋葉原のパーツショップやネットの海から選んだ部品を前に、配線ミスでショートさせてしまうのではないかという不安が頭をよぎります。電源を入れたもののセンサーから値が返ってこず、コードのバグなのか配線不良なのかも分からず、ただ焦燥感だけが募っていきました。
手探りで触れる現実の温度
今回はハンダ付けを一切せず、ブレッドボードとジャンパーワイヤーだけでどこまでできるかの試行錯誤です。仕様書通りにいかない現実の不確かさに戸惑いつつも、深呼吸をして配線を一つずつ見直していきました。デジタルな画面上の数字だけではなく、物理的な手触りや回路のつながりを確認していくこの作業は、どこか人間関係の不器用さとも似ている気がしてなりません。
小さな光が灯った夜に
試行錯誤の末にPythonスクリプトを調整し、室温が28℃を超えた瞬間にLEDがふっと赤く光ったとき、胸の奥に小さな温もりが灯りました。圧電スピーカーを用いたCPU温度60℃超でのビープ音制御も含め、自分が組み立てた論理が現実の空間に物理的なフィードバックを生み出す瞬間は何物にも代えがたい達成感があります。完璧な答えなど出ませんが、こうして自分の歩幅で確かめながら、明日へ向かう静かな勇気をもらえたような気がしています。
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