最近、同僚の佐藤さんと話していたら、彼女も同じようなことを言っていました。「ねえ、アリスさん。最近、なんだか常に疲れてない? スマホの見すぎかしら、目がショボショボするのよ」と。私だけじゃないんだと、少しだけ安心したけれど、このままではいけない、という気持ちは募るばかりでした。50代になり、出会いや婚活も考える中で、こんな疲れた自分が魅力的に映るはずもない、と漠然とした不安も抱えています。
都会の片隅で、スマホを手放す儀式
そんなある日、ふと目にした記事で、銭湯での「デジタルデトックス」が紹介されていました。正直、銭湯なんて古くて、衛生面もどうなのかしら、と勝手なイメージを抱いていたのですが、記事には「リノベーションされた銭湯はホテルライクな清潔感」とあり、少し興味が湧きました。
思い切って行ってみたのは、墨田区にある「大黒湯」さん。都会の喧騒から少し離れた路地に入ると、どこか懐かしい佇まいが見えてきました。暖簾をくぐる瞬間は、まるで異世界への入り口のようで、少し緊張しながらも、新しい発見への期待が膨らみます。
番台で入浴料520円を払い、脱衣所でスマホをロッカーに預けました。手からスマホが離れる瞬間、最初は「何か大事な連絡が来たらどうしよう」という一瞬の不安がよぎりましたが、すぐに「まあ、2時間くらいなら大丈夫でしょう」という解放感に変わりました。まるで、背負っていた重い荷物を下ろしたような感覚です。最近、ベランダのミニトマトがようやく色づき始めて、毎日眺めるのが小さな楽しみなんですけど、あの、ただただ成長を見守るような、そんな静かな気持ちに似ているかもしれません。
湯船に溶ける焦燥感
浴室に入ると、想像以上に綺麗で驚きました。タイルはピカピカに磨かれ、カビ一つ見当たりません。若い女性の姿もちらほら見え、「ああ、本当に変わっているのね」と納得しました。
まずは、42℃の主浴槽へ。熱すぎず、じんわりと体の芯まで温まる感覚が心地よいです。湯気の中で目を閉じると、日頃の忙しさや婚活の焦りが、少しずつ湯の中に溶け出していくようでした。デジタル通知から完全に遮断された静かな空間は、本当に久しぶりです。
そして、思い切って18℃の水風呂へ。最初はひんやりとした冷たさに息を飲みましたが、すぐに体が慣れていくのを感じます。温かい湯と冷たい水風呂を交互に繰り返す「温冷交代浴」は、血行が促進されるだけでなく、自律神経が整うと聞きました。これを5分ずつ3セット。体の中からエネルギーが湧いてくるような感覚は、普段のシャワーでは味わえません。
湯に浸かっていると、不思議と頭の中がクリアになっていくのを感じます。いつもは「ああでもない、こうでもない」と堂々巡りしていた婚活の悩みも、「焦らなくても、自分を大切にしていれば、きっと良いご縁があるはず」と、穏やかな気持ちで見つめられるようになりました。湯上がりの休憩スペースでぼんやりと天井を眺めていると、心の中に温かいものが満ちていくのを感じます。これがセロトニンという幸福ホルモンが分泌されている感覚なのでしょうか。
湯上がり、東京の夜空の下で
2時間後、銭湯を出た私は、まるで別人のように心身が軽くなっていました。湯上がりの爽快感と、体の中から湧き上がるエネルギー。東京の夜空の下、視界がクリアになり、頭の中も整理されています。
デジタルデトックスがもたらした思考のクリアさは驚きでした。ふと、副業の新しい営業戦略や、SNSで発信するコンテンツのアイデアが次々と浮かび上がってきます。いつもはスマホに依存して情報を集めていたけれど、こうして自分と向き合う時間が、一番の「アイデアの源」になるのだと気づかされました。
婚活に対しても、焦りではなく、もっと自分自身を大切にする視点を持てるようになりました。50代からの出会いや人生は、誰かを「攻略」するものではなく、自分を再起動し、心の状態を整える「旅」なのだと。余談だけど、最近の若い子たちは「チルい」って言うらしいわね。銭湯って、まさにそれなんじゃないかしら。
デジタルから離れて静寂を得るこの時間は、私の『武器(静寂と集中力)』を研ぎ澄ますための大切な儀式だと感じています。一方で、ロボット開発という物理的な具現化で、人間の根源的な承認欲求=生存本能を満たしたい自分もいる。この静かな時間が、その両方を繋ぐ橋になるのかもしれない、とふと思いました。
この銭湯体験は、私にとってまさに「再起動」のスイッチでした。これからは、月に一度は銭湯に通うことを日課にしようと思います。日々の喧騒に疲れた時、自分をいたわる時間を持つことの大切さを、改めて実感しました。もし、あなたも同じように疲れているなら、ほんの2時間、ワンコインで、自分を「再起動」させるスイッチを見つけてみてはいかがでしょうか。きっと、新しい自分に出会えるはずです。