利回り6.2%のインフラファンドを初取得。なぜ今まで敬遠していたのか数字で自己分析

東証インフラファンドの株価一覧を前に、私は数年間ずっと購入ボタンを押せずにいた。分配金利回り6.2%を誇るタカラレーベン・インフラ投資法人(9251)をはじめ、魅力的な数字が並んでいるにもかかわらずだ。

J-REITの平均利回りが約4.3%、東証プライムの平均配当利回りが約2.2%であることを考えると、6%超という数字は異彩を放っている。しかし、私は「高利回り=破綻リスクの裏返し」という先入観に捕らわれ、ポートフォリオへの組み入れを拒否し続けていた。

6.2%を何年間も見送り続けた愚

見送っていた最大の理由は、頭の中でリスクを曖昧に膨らませていたことにある。許容リスク額を仮に30万円と設定した際、株価の暴落によってその上限を超えて損をするのではないかという漠然とした恐怖が先行していた。

当時の取引メモを見返すと、利回りの高さに対する警戒心ばかりが目立つ。

投資対象 平均利回り 過去の自分のリスク認識
東証プライム全般 約2.2% 低リスク・長期保有向け
J-REIT全般 約4.3% 中リスク・不動産市況依存
東証インフラファンド 約6.1% 高リスク・FIT終了で暴落の懸念

数字を正しく分解せず、「なんとなく怖い」という感情だけで判断を下していた。この「定量化の欠如」こそが、数年間にわたり配当収入のチャンスを捨て続けていた根本的な原因である。

出力制御ニュースのダメージ試算

インフラファンドを敬遠する具体的な要因の一つが、九州電力や東北電力管内で発生している「出力制御」の報道だ。再エネの発電量が需要を上回った際に買い取りが一時停止される現象で、年間で最大15〜20%程度の減収インパクトになり得ると言われている。

ニュースのヘッドラインだけを見ると事業の継続性が危ぶまれる印象を受けるが、実際の収益構造に落とし込んで計算してみると見え方が変わる。

1株あたりの年間分配金に対する影響を試算した場合、最悪のシナリオ(20%の減収が通年で発生)を仮定しても、タカラレーベン・インフラ投資法人の場合、1株あたり手取り分配金で3,100円ラインをデッドラインとして防衛できる構造が見えてくる。

平常時の想定分配金: 1株あたり約3,700円

出力制御(最大20%減収)織り込み後: 1株あたり約3,100円

購入株価ベースでの実質利回り: 約5.1%(減収後でも4%台後半〜5%超を維持)

感情的に「売電収入がストップする」と恐れるのではなく、最悪の減収率を適用した後の実質利回りを算出することで、下振れリスクの上限が具体的に見えてくる。

余談だが、先日デスクの掃除をしていたら数年前に書いた手帳が出てきて、そこにも「インフラファンドは怪しい」とだけ殴り書きされていた。根拠のない印象論で思考停止していた過去の自分に苦笑するしかない。

FIT終了で紙くずという通説の嘘

もう一つの心理的障壁が「2032年問題」、いわゆるFIT(固定価格買取制度)の終了に伴う暴落懸念だ。ネット上の掲示板やSNSでは「FITが終われば売電価格が暴落し、ファンドの価値は紙くずになる」といった極論が散見される。

しかし、ファンドの財務諸表と減価償却の構造を追うと、この説の不備が浮き彫りになる。インフラファンドの分配金には、一般的な配当とは異なる「利益超過分配金」が含まれており、全体金額の約20〜30%を占める。

【分配金の構造】
[ 通常の利益分配(約70〜80%) ] + [ 利益超過分配金(約20〜30%:資本の払い戻し) ]

利益超過分配金は税務上「資本の払い戻し」として扱われるため、取得価額が徐々に引き下げられる。これにより課税繰り延べ効果が発生し、税後実質利回りは約4.96%に達する計算となる。

また、20年のFIT期間が終了する頃には、減価償却によって発電設備の残存簿価はほぼ0円まで下がり、投資元本の回収は完了している。太陽光パネルの出力劣化率は年間約0.5%程度であり、20年経過後も初期出力の約90%を維持可能だ。

簿価ゼロの資産から、市場価格(FIP制度や相対取引)で売電を行って得られるキャッシュフローは、たとえ単価が下がったとしても十分なROI(投資利益率)を叩き出す。FIT終了=無価値という論理は、元本回収のスピードと設備の物理的耐用年数を無視した暴論と言わざるを得ない。

20万円以下で買える銘柄の組み込み基準

リスクの定量化を終えた私は、タカラレーベン・インフラ投資法人を1株あたり約59,000円で初取得した。あわせてカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)などの同業銘柄とも比較検討を行い、ポートフォリオ全体でのリスク分散を図っている。

手取りの不労所得を増やし、日々の生活費や固定費の支払いに回して家計の安心感を高める上でも、この確実なキャッシュフローは大きな力になる。ただし、購入に至るまでには自分の中で明確なルールを設定した。

ポートフォリオ組み入れ時のチェックリスト

許容損失額の制限: ポートフォリオ全体の中で、インフラファンドへの割り当ては許容リスク枠(30万円)の範囲内に抑えること。

出力制御織り込み利回り: 最大減収率(20%)を適用した後の実質利回りが4.5%を下回らないこと。

確定申告の手間受け入れ: 利益超過分配金の取得価額修正や税務処理の手間をコストとして許容すること。

感情的な不安を「パーセンテージ」と「金額」という具体的な数字に置き換えること。それができて初めて、高利回り銘柄の真のリスクとリターンを冷静に秤にかけることが可能になる。

最近は、新しく気になったことに対して「なぜそう感じたのか」をノートに短く書き残す習慣を始めた。今回のように自分の警戒心の正体を数字で解き明かすプロセス自体に、確かな手応えを感じている。まずはこの1株から、リスク管理に基づいた実践を続けていく。

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