OBSERVATION
2026-07-16

AI音楽生成に挑む。来月の制作に向けた、僕の最初の音の実験記録
路地裏の猫が、いつも通る電柱の影で丸くなっているのを見た。季節の変わり目、少しずつ空気の匂いが変わってくる。そんな何気ない日常の中で、僕の頭の中はいつも音と格闘している。特に最近は、AIが吐き出す音源とどう向き合うべきか、その問いが絶えず響いている。

AI音楽、魂込められへん?

正直なところ、AIで音楽を生成し始めた頃、僕は少し焦っていたのかもしれない。Suno AIやUdioといったツールは、驚くほど短時間でそれなりの楽曲を形にしてくれる。まるで魔法のような技術に、最初は興奮を覚えたものだ。しかし、いくら生成を繰り返しても、どこか心に響かない、平坦な音が続いてしまうという壁にぶち当たった。

どれもこれも、同じような音色、同じような展開。まるで量産型ロボットが歌っているような、無個性なトラックばかりが溜まっていく。これでは、僕自身の音楽的な個性がどこにあるのか、分からなくなってしまうのではないかという不安が募った。それに、月々増えていくサブスクリプション費用も無視できない。このままでは、結局プロのエンジニアにミックスやマスタリングを外注するのと、コスト面で大差ない状況になるのではないか、そんな焦燥感が常に付きまとっていた。

月34ドルで導き出す僕の選抜メンバー

この平坦な壁を打ち破るため、僕はAI音楽生成のワークフローを根本から見直すことにした。結論から言えば、Suno AI(月額24ドル)とUdio(月額10ドル)を併用することで、合計月額34ドルというコストで、商用利用可能な高品質なステムデータを生成する道筋が見えてきたように思う。これは、外注費を大幅に削減しつつ、クオリティを維持するための僕なりの最適解だと感じている。

Udio v2.0では、プロンプト内にBPMを「128」と明記することで、従来のグリッドとのズレを15%から5%以下にまで抑制できることが分かった。これは非常に大きな進歩である。また、楽曲のコード進行を生成する際には、ChatGPT o1を用いてMIDIの構成案を抽出し、それをDAW上のプラグイン「Serum」で音色をエディットする手法を取り入れた。この組み合わせにより、制作時間は約60%短縮される感覚がある。

余談だが、先日、実家の親から「最近、音楽ばっかりやってるけど、ちゃんと食べてるんか?」と電話があった。AIで効率化しているとは言え、親世代にはまだまだ理解されにくい世界なのだろう。そんな世間の声も、僕にとっては創作の原動力の一つである。

AIの『嘘の音』を削ぎ落とせ

AIが生成した素材は、あくまで「粗削りな原石」である。これを磨き上げ、僕自身の音楽として昇華させるには、DAWでの綿密な作業が不可欠だと感じている。特にボーカルトラックには、AI特有のノイズが混入していることが多い。これに対しては、Waves社の「Clarity Vx」が非常に有効である。このツールを使うことで、1トラックあたり約20分のミックス時間を短縮できると感じている。

さらに、最終的なマスタリング工程もAIと共創する。iZotope Ozone 11の「Master Assistant」は、ストリーミングサービス推奨の-14 LUFSへの調整を平均3分で完了させる驚異的な性能を持つ。しかし、ここでも重要なのは、AIの提案を鵜呑みにせず、最終的には自分の耳と感性で微調整を加えることである。AIはあくまでアシスタントであり、最終的な判断を下すのは人間であるべきだと、僕は強く感じている。

指揮者は誰や?クリエイターの判断基準

「AI生成曲はオリジナリティがない」という声は、今も耳にする。しかし、僕の経験から言えば、それはプロンプトの設計次第で大きく変わる。プロンプトの階層を6段階まで掘り下げ、具体的な指示を細かく与えることで、既存のヒット曲との類似率を10%以下に制御できるのではないか、と検証を重ねる中で確信を得つつある。

AIが提供する様々な選択肢の中から、どこを残し、どこを差し替えるべきか。この「選別・加工・仕上げ」というプロセスこそが、AI時代におけるクリエイターの新たな役割ではないかと考えている。僕たちは、まるでオーケストラの指揮者のように、AIという楽器を奏で、その音色をまとめ上げる存在になる。最終的には、どれだけAIが進化しようとも、自分の耳を信じ、自分の表現したい世界を追求するというプロの矜持が、最も重要なのではないだろうか。

AIは、創造性を殺すものではなく、むしろそれを拡張する強力な触媒である。僕たちは、この新たなツールを使いこなし、自分自身の内なる『静寂』と向き合い、表現者としての道をさらに深く探求していくべきだと、強く感じている。来月の制作に向けたこの実験記録が、誰かの創作活動の一助となれば幸いである。

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実際の画面キャプチャ
実際の画面より(https://www.udio.com/