昨日YouTubeでAI活用系のチャンネルをぼんやり流していたら、「プロンプトを工夫したら書籍1冊が2週間で書けた」という動画が出てきた。よくある話だと思いながら、手を止めて最後まで見た。

自分もついさっきまで同じことをやっていたから。

プロンプトが雑すぎた最初の私

実際にAIとの対話ログを束ねて1冊の電子書籍にまとめ終えたのが数週間前だ。達成感はあった。でも振り返ると、前半の自分はかなりひどかった。

「〇〇について書いて」と一行投げて、返ってくる文章を読んで「なんか違う」を繰り返す。1章仕上げるのに4.5時間かかっていたし、修正のやり取りが平均8回。もう原稿じゃなくて、ずっと指示書の改稿をしている感覚だった。

採用率を後から計算したら15%しかなかった。10回やり取りして、使えるのが1〜2回分。残りは全部スクラップ。時間だけ溶けていく。

型を変えたら別物になった

ある段階から、プロンプトの構造を変えた。役割と制約と出力形式を毎回セットで渡すようにした。「あなたは編集歴15年のビジネス書担当者です」「1段落200字以内」「見出し・本文・まとめの3構造で」——この3点を最初に入れるだけ。

採用率が62%まで上がった。1章あたりの作業時間が4.5時間から1.2時間へ短縮された。同じAI、同じ私。変えたのはプロンプトの型だけ。

もう一個気づいたこと。長い指示が正義だと思っていたけど、800字超の詳細プロンプトより150字前後の短くて鋭い指示の方が精度が高くなることが多い。長く書くほど、後半の制約が埋もれていく。私がいくら丁寧に書いても、後ろの方は読み流されている。

夜11時、何もしなかった5分間

章ごとに異なるAIを使い分けていた時期が一番しんどかった。ある章はこっちのモデルで、別の章は別のモデルで——ってやっていたら、文体も論調も語彙レベルも全部バラバラになった。結局全部自分で書き直す羽目になって、それが一番時間を食った。

そのへんで完全にペースが崩れた夜があった。夜11時すぎ、ずっと流していたlofi配信が急に止まって、部屋に無音が広がった。ヘッドフォンを外したら、大阪の夜のクーラーの音だけが残っていた。

なんとなくそのまま、5分ほど何もしなかった。

特に何かを考えていたわけじゃない。ただ静かだった。

余談——コンビニで30秒

全然関係ないんだけど。翌朝コンビニでセルフレジを使っていたら、500円玉を入れたら詰まった。店員を呼ばないといけないのに、「あの……」と声をかけるまで30秒ほどためらってしまった。

自分でどうにもならないことを人に頼む、あの一瞬のもたつき。

AIへの対話も最初はそれに近かったと思う。「こんな雑な指示でいいのか」「もっと詳しく書いた方がいいんじゃないか」という遠慮みたいなもの。うまく頼めないのは相手の問題じゃなくて、自分の問題だった。

1冊作った、次が見えた

AI対話の質がそのままアウトプットの質になる。1冊作り切って、それだけは確信に変わった。

モデルの性能差よりも、どう問いかけるかの差の方が、最終的な出来に影響する。量産できる時代と読まれ続ける時代は全然別物で、その分岐点は対話の型にある。

電子書籍のプロトタイプはできた。でも正直、まだ対話の質には伸びしろがある。短く鋭いプロンプトを意識的に積み上げていく。型を磨くことが、次のアウトプットを変える。

1冊目で失敗したところはだいたい把握した。だからこそ、次は同じ失敗をしない確信がある。

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