
ふとした瞬間に、仲間から「結局、人は自分の興味のあることにしか参加しないんですよね」という言葉を耳にしました。一見すると、少し冷めた、あるいは諦めにも聞こえる言葉かもしれません。しかし、この言葉の裏側には、現代のコミュニティ運営やチームビルディングにおける非常に重要な真理が隠されているように感じます。
私たちはつい、「みんなで何かを成し遂げること」を正義とし、参加率や集客数に一喜一憂してしまいがちです。しかし、無理やり人を集めても、そこに当事者意識がなければ、イベントはただの「消化試合」になってしまいます。今回は、この「興味」というフィルターと、どう向き合い、どう設計していくかというライフハック的な視点について考えてみたいと思います。
1. 「興味」というフィルターを前提にする
まず、大前提として「人は興味がないことには動かない」という事実を認めることがスタートラインです。これは決してネガティブなことではありません。むしろ、参加者が「自分事」として捉えられるポイントを見つけることが、主催者やリーダーの役割だと言えます。
例えば、私が企画するイベントでも、天候や季節の変わり目によって参加者の反応は如実に変わります。肌寒くなってくると、ただ歩くだけのハイキングよりも「山で温かい料理を食べる」という具体的な体験がフックになる。つまり、興味の対象は常に変化しており、それをいかに「今の彼らの関心事」に接続できるかが鍵なのです。
2. 「参加のハードル」を下げるのではなく「意味」を再定義する
よく「参加しやすくするためにハードルを下げよう」という議論になりますが、実は逆効果なこともあります。ハードルを下げるだけでは、興味のない人は「まあ、暇なら行ってもいいかな」程度にしか感じません。
そうではなく、イベントの目的を「常時活動していることをアピールする」という運営側の都合から、「参加者が今、この時期に体験すべき価値」へとシフトさせるのです。例えば、忘年登山であれば「ただ登る」ではなく「一年を振り返り、温かい食事を囲んで労う」という体験にフォーカスする。この「意味の再定義」こそが、興味の薄い層を巻き込むための最も現実的なライフハックです。
3. 試行錯誤を恐れない「模型」を作る思考
私は以前、クライミングウォールベッドのコンセプトを検討する際、CADで悩むよりもバルサ材で模型を作ることを選びました。これは仕事やコミュニティ運営にも通じます。頭の中で「どうすればみんなが参加してくれるか」をこねくり回すよりも、まずは小さなイベントや企画という「模型」を実際に動かしてみるのです。
「とりあえずやってみる」。この軽やかさが、結果として「興味のある人」を惹きつけ、そこから波及効果を生みます。失敗しても、それは「興味の方向性」を確認するための貴重なデータになります。イベントをキャンセルしたり、再企画したりすることも、決して恥ずかしいことではなく、より良い体験を作るためのプロセスの一部なのです。
結びに:自分の興味を信じることから始める
「結局、興味のあることにしか参加しない」。この言葉を突き詰めると、実は「自分自身が何に興味を持ち、何を楽しんでいるか」を明確にすることが、最も強力な求心力になるという結論に至ります。
リーダーや主催者が、心から楽しんで企画に取り組んでいる姿は、必ず誰かの興味を刺激します。無理に人を動かそうとせず、まずは自分が面白いと思うことを形にする。その熱量に共鳴する人が集まる場所こそが、長く続くコミュニティの形なのだと思います。
皆さんも、もし周囲の反応が鈍いと感じたら、一度立ち止まって「自分自身がワクワクしているか?」を問い直してみてください。その小さな変化が、きっと周囲を巻き込む大きなうねりへと変わっていくはずです。