あの、針が盤に触れる直前の静寂。プツッという音。それから始まる音楽。今日もなんとなくそのことを考えていた。
盤を裏返すだけでいい
LPのA面は20〜25分で終わる。
この「強制的な終わり」が、意外と重要だった。音楽が途切れて、盤を裏返す。たったその数秒の動作が、自然な区切りになる。
ストリーミングには、この区切りがない。気づいたら一時間経っていて、何を聴いたか全然覚えていない——そういう体験、最近ずっと続いていた。音楽を「聴いていた」のか、ただ「流していた」のか、もう区別がつかなくなっていた。
ジャズ喫茶のカウンターで盤が裏返されるのを見て、「ああ、これが区切りか」と思った。たったそれだけのことなんだけど。
高音質じゃなくて、好音質
一つ面白いことを知った。
「レコードはCDより音がいい」ってよく言われるけど、計測値で見ると話が変わる。ダイナミックレンジはCDが96dBに対してレコードは60〜70dB程度で、スクラッチノイズも乗る。「高音質」じゃなくて「好音質」というのが正確な表現らしい。
温かみの正体は、音響工学的には「歪み」なんだそうだ。でも人間の聴覚が、その歪みを心地よいと感じる。自然楽器の倍音構造に近いから。
これ、なんか腑に落ちた。AIアートでも「数値的に完璧な画像」より「どこか揺らぎのある画像」のほうが美しく見えることがある。完璧さと美しさは、同じじゃない。
何もしていない時間の話
余談だけど、今日スーパーでレジ待ちをしながら、「ここ最近、この時間にスマホを触らなかった日があったかな」と考えたら、全然思い出せなかった。
ジャズ喫茶でレコードを聴いていたあの数時間、スマホをカバンから一度も出さなかった。それが普通のことのはずなのに、なんか特別な感じがした。目が疲れていなかった。脳が静かだった。
「何もしない時間」を作ろうとしてもうまくいかないのは、たぶん意味を間違えていたからだと思う。SNSを見ない、ではなくて、何か一つだけに集中する。それが答えに近い気がしている。
また聴きに行く
中古レコードを一枚買おうか、と少しだけ考えている。
300〜800円のものもあるらしいし、全部揃えなくていい。ターンテーブルも、エントリーモデルで1万5千円前後から始められる。始めようと思えば、そんなに大げさじゃない。
まず一枚、ちゃんと「聴く」をやってみたい。盤を選んで、針を落として、裏返す。その三つだけで、たぶん十分な気がしている。
プロンプトのことは、また明日から考える。今日はそれでいい。
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