深夜21時、梅田の場末で
「ナレッジソサエティ梅田」ってコワーキング、知ってるか。ドロップインで1日1650円、夜通し腰据えるなら月額16500円〜のプランもある。うちみたいな昭和のおっさんが場違いかと思うたら、23時過ぎの利用者は体感で8割方20代や。
その夜は21時から翌3時まで、若手起業家3人に混じって長机囲んでた。最初は「若いもんの商売論なんぞ聞いたるわ」くらいの余裕綽々。これがまあ、後で自分の頬っぺた叩きたなるほどの慢心やったわ。
粗利率28%の衝撃
サブスク型の花屋やっとる26歳の兄ちゃんが、こともなげにこう言いよった。
「粗利率30%切ってる商売は、構造から腐ってますよ」
うちの主力商品、電卓叩いたら28%やった。この数字、20年商売やってきて一度もまじめに計算したことなかった。「儲かってる感じ」でやってきたツケがここに来たわけや。悔しいけど言葉が出んかった。
LTV?知らんかったわ
「LTV、月いくらで見てます?」
聞かれて固まった。LTV、顧客生涯価値ってやつやな。一人のお客がうちの店にトータルなんぼ落としてくれるか、数字にしたことなんぞ一度もない。話聞いたら、LTVを計算したことない経営者は中小企業の7割やそうな。「ワシもその7割やったんか」て、恥ずかしいやら安心するやら妙な気分やったわ。
どんぶり勘定の末路
数字にして初めて分かったんやけど、昭和のどんぶり勘定経営と、数字を見る経営は、こんだけ違う。
| 項目 | どんぶり勘定 | 数字を見る商売 |
|---|---|---|
| 粗利率確認 | ほぼやらん | 月1回は見る |
| 値付け見直し | 何年も据え置き | 半年〜1年で検討 |
| 顧客データ | 感覚頼み | 記録して振り返る |
中小企業庁の資料によると、粗利率30%未満の小売・飲食業は5年後の生存率が平均より15ポイントほど低いとされるらしい。もちろんこれは傾向の話で、うちの店の未来を保証する数字やない。せやけど「傾向がある」いうだけで、背筋伸びる話やろ。
1200円を1500円にした話
その週末、恐る恐る主力商品を1200円から1500円に改定した。長年「値上げしたら常連が逃げる」いう恐怖があってな、正直、夜も眠れんかったわ。
蓋開けたら、常連の離脱は想定の5%以下に収まった。値上げの理由をちゃんと伝える、常連には先に一言根回しする――このひと手間だけの話や。あとで聞いた話やけど、値上げに踏み切った中小事業者のうち、離脱率が5%以内に収まったケースは6割を超えるいう調査もあるらしい。あくまで人伝てのレベルの話やし、誰にでも同じ結果が出る保証はないで。せやけど、うちの実感とも合致した。
若い奴舐めとった
「若手は経験浅いから話が浅い」――この思い込み、完全に間違うてた。数字の話になったら、あの兄ちゃんら、うちより何倍も鋭い。データで殴ってくるんや。
考えたら、うちは長年同業者としか付き合うてこんかった。ラーメン屋は蕎麦屋と、居酒屋は居酒屋と。それが視野を狭めとったんやろな。異業種、異世代の人間と一晩だけでも喋ると、こんだけ見え方変わるとは思わんかったわ。
明日からの銭勘定
さて、ここからが得する話や。粗利率の出し方は難しないで。「(売上−仕入原価)÷売上×100」、これだけ。うちの店なら、レジ締めた後の電卓叩くだけで出る。LTVは「客単価×来店頻度×継続年数」で大まかな目安が掴める。
計算がめんどいなら、freeeやMoney Forward クラウド会計みたいな会計ソフト使えば自動で出してくれる。商工会議所の窓口も無料相談できるから、一人で抱え込む必要はない。noteに自分の商売の記録つけてる若手も多かったで、あれは真似したろ思うた。
値上げの伝え方は、理由をちゃんと言葉にすることに尽きる。原材料が上がった、手間を増やした、質を上げた――理由なき値上げは反感買うけど、理由ある値上げは案外受け入れてもらえる。ただしこれはうちの店の一例であって、値付けの最終判断はあくまで自分の商売と相談して決めることや。
年季があるから正しい、いうのは幻想やった。数字を定期的に見直す習慣がない商売は、どんだけ年季重ねても構造から傾いていく。粗利率、今日にでも一回計算してみ。まぁ、金がすべてやないけど、無いよりあったほうがええに決まってるわな!
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